即戦力の音作り 〜ギターアンプの音作りに重要な3つのポイント〜後編

こんにちは。ABC Music Schoolギター科講師の清水宥人です。

今回ははじめてバンドを組んだ、またはサークルなどの活動を始めて、さあスタジオへ繰り出すぞ!という段階の方へ、現場での音作りメソッドを伝授。

イコライザの役割

前編では、ギターアンプとはなにか、また超重要なアンプの役割について解説していきました。
後編では出音の調整。「イコライザーの使い方」を解説していきます。それでははりきってどうぞ。

トレブル

このメモリは主に高音。キンキンした部分ですね。一度つまみを右に回しきってみましょう。痛い音が強くなっていくのがわかると思います。

シングルコイルピックアップ搭載ギターだと、ノイズやピックのタッチ、巻き弦(4,5,6弦)をこするカリカリした音などの繊細な部分も上がるので気を付けて扱いましょう。また、音の輪郭を作ると考えれば、最低限の輪郭がわかる所まで上げれば充分とも言えます。

ミドル

“ミドル”の帯域は広く定義されますが、わかりやすく言うと人の耳に一番聞こえやすいところ。だからこそ、それぞれアンプによってキャラクターが違います。が、ここではそこに触れません。それぞれの良さを活かすための企画でもあるので、受け入れていきましょう。

“ミドル”をフルテンまで上げてみて下さい。音が大きくなった気がしませんか?それはミドルが”体感の音量”を調節するツマミでもあるからなのです。※注釈1

“ミドル”は人の声と同じ帯域なので勿論好みも別れますが、ミドルを極端に下げる所謂”ドンシャリ”セッティングはバンドのアンサンブルの中で聴こえづらくなりがちです。

バンド全員で音を出した時ギターが聴こえづらい場合、ミドルのセッティングをいじってみましょう。

※注釈1
実際に音量が上がるタイプのアンプもありますが、今回のテーマではボリュームとmidコントロールが分かれているアンプ、と定義します。

ベース

イコライザの最後は”ベース”。「ブンブン」した低音の部分のことですね。実は楽器のベースほどの低音はギターに必要ありません。そしてギター単品で聴く場合”ベース”ツマミをあげるとふくよかな音になるので勘違いしがちですが、バンドアンサンブルの中では割と邪魔になりがちなむずかしい帯域。慣れないとツマミをいじってもあまり変化に気づけないかもしれません。ですのでこのメモリは基本的に半分以上あげないようにすると良いです。

また“ベース”を下げると音が細くなると感じるかもしれませんが、ギターの音の太さを左右するのは”ベース”ではなく”ミドル”だと認識しましょう。

マスター+アンプの位置

さて、最後に”マスター”のお話をしましょう。と言っておきつつも音が聞こえにくい時、安易にマスターを上げる前にやってみて欲しいことがあります。

それは、アンプの向きの調整!
試しにアンプから少し離れてスピーカーと同じ高さに自分の耳を持ってきてみましょう。間違っても絶対にスピーカーに耳を近づけちゃダメですよ。音量次第では本当に危険です。

どうでしょう。立って弾いている時よりも音が近くに聞こえるでしょう。
当然だろ!と思うかもしれませんが意外とバンドで演奏していると気づけばスピーカーの射程圏内から出てしまっていたり、スピーカーがあさっての方向に向いていたりしていませんか。これで聴こえないからとマスターをあげたりするともう大変。

ベーシストも「自分の音が聞こえない」とマスターを調整し始めたり、ドラマーがシンバルを力いっぱい叩き始めたりし始めるとカオスの始まり。ボーカリストは自分の声が聞こえずボリュームを上げ、ハウリングが起き、世は世紀末へと変貌を遂げます。

と、大げさに思うかもしれませんが半分本気で書いています。適正なアンプの向きも、音作りと同じく重要だということが理解いただけたかと思います。

それではどのようにマスターを調整したらいいか?具体例を出します。

基本的な調整基準

✔︎エフェクター込みのセッティングで一番大きな音を出すセクション、例えばギターソロやイントロ等でブーストをした後の音量を基準に”マスター”を調整。

✔︎Aメロで音が小さくなりすぎる場合はブーストを抑えて”マスター”を上げて差を埋める。

✔︎ディレイやコーラスなどのエフェクターも音量感を変える物。踏んだ途端に変わるようなら設定を見直す。

途中で突然自分の音が聴こえづらくなる時

✔︎自分以外のギタリストもしくはベーシストが何かペダルを踏んでいないか、キーボーディストがいる場合も同様に確認。

✔︎同じタイミングでギターの音が小さく感じたかどうかをメンバーに訊ねて客観的に判断することも大切。

✔︎カラオケ音源を使って演奏する時も同様に、オケに変化がなかったかなどを気に留めてみる。

結論として”マスター”ツマミをいじるのは「アンサンブルの中での適正音量を調節するのみ」に留めましょう。

音作りは気づかい

ここまででいかがでしたでしょうか。

前後編と続いた音作りに関しての記事を通して僕が言いたかったことは、とにかく自分の音のことを最優先に考えないことです。エレキギターを人前で発表する時、ひとりっきりでカラオケもなしに演奏することなんて人生で1度2度あるかないかです。

映画「Crossroads」の主人公”ユージン”とSteve Vaiのギターバトルに憧れる気持ちはわかりますが、ここではバンドで演奏をすることを前提に書いておりますので悪しからず。
冗談はさておき、ギター単品で鳴らした時にかっこ良く聴こえる音とバンドの中でかっこ良く聴こえる音は必ず違います

“トレブル”の帯域にはシンバルが、”ミドル”の帯域にはボーカルが、“ベース”の帯域にはそれこそベースがいます。

“ゲイン”をあげすぎると音が潰れて聴こえづらくなりますし”マスター”をあげすぎるとカオスが訪れます。

それぞれに気を遣い、これを見ている皆さんがギターを更にかっこ良く聴かせられるために、是非すぐにでも実践してみましょう。

ABC Music School ギター科講師

清水宥人

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ABOUTこの記事をかいた人

プロギタリスト。ESPミュージカルアカデミー卒。 在学中は渋谷公会堂にて行われたコンテストにてグランプリ受賞、 学内コンテストファイナリスト、校内レコーディングメンバーに選ばれる等の優秀な成績を残す。現在はプロギタリストとして演奏、レコーディング、編曲ほかbarのセッションホストなども務める。