ピックアップポジションによって音はどう変わるのか?

Electric Guitar

ピックアップ(PU)ポジションによって音はどう変わるのか?

星野講師
こんにちは!ABCミュージックスクールギター科講師の星野尚紀です。
今回はピックアップ(PU)ポジション別のトーン(音質)の傾向について解説していきたいと思います!!

今の時代、エレキギター用のピックアップは世界中探せばいくらでもあり、ピックアップそれぞれの音特性も非常に幅広いです。

世界中から取り寄せて一つ一つを検証していく、なんてそんな気の遠くなるような作業はできませんが(笑)、一般的な知識としてそれぞれのピックアップ・ポジションのトーン(音質)の傾向を知っておくことで、自身の音楽をより深く、演奏する音楽スタイルに“似合った”音を作るヒントになるのではないでしょうか。

それでは詳しく見ていきましょう!

そもそもピックアップ(PU)ってなに?

ピックアップとは何でしょう?

そもそもエレキギターの世界においてはこの「ピックアップ」というパーツがなければ音は出ません。“Pick Up=拾い上げる”という言葉からきているピックアップ(頭文字だけ取ってPU)、まさに弦振動を音として拾い上げるためのパーツなんです。

エレキギターという楽器はこの“ピックアップ”さえあればどんな形のボディでも楽器としては成立します。毎週金曜日の音楽番組でも時々目にします、天使が掘ってあるギターやガイコツが掘ってあるギター、色も形もなんでもあり、というのがエレキギターの大きな特徴です。本当に、夢があります!

そしてこのピックアップ、大抵のギターは2個もしくは3個ほどついていますが、どれ(どのポジション)を使うかによって結構トーン(音質)が変わるんです

自宅の庭の木を切って、弦を張ってピックアップさえつければ完全オリジナルギター完成!あ、弦はナイロンギター弦じゃなく、必ずスチール製じゃないと音出ませんよ!ピックアップって磁力を使って機能していますから!

 

ピックアップが2個のギターの場合

レスポールやテレキャスター、ジャズマスター等ピックアップが2個ついているギターについてです。

 

フロント・ポジションの音

まずどれがフロント・ピックアップなのでしょうか?

ネックに一番近いピックアップがフロント・ピックアップです。
ピックアップ・セレクターをフロント・ポジション(レスポールで言えばトグルスイッチをRHYTHMの位置、テレキャスターで言えばレバーを一番ネック寄りの位置)にするとこのピックアップを使っている状態になります。

フロント・ポジションの音の特徴としては「温かい音」、「丸い音」等ということが多いです。実際に音を出しながらピックアップ・セレクターを色んなポジションンに切り替えると、フロント・ピックアップのポジションにした時は音がこもる、引っ込むような感覚ありませんか?
これがフロント・ピックアップの音の特徴でです。

この一見使いづらいような「丸く、こもった音」、実は結構重宝するんです。音楽ジャンル的にはジャズやフュージョン、またブルース系ギタリストは結構このポジション多用しています。

ジャズ系のアーティストモデルの中にはフロント・ピックアップしか搭載されていないモデルもあります。
筆者もオーストラリアでの武者修行次第、レストラン演奏などではほぼ100%フロント・ピックアップ使っていました。あんまりギャンギャンやったら食事中のお客様に大迷惑ですし(笑)、オーナーから蹴り出されて仕事失くす恐れもありましたから(笑)。

ポップスやロックギターを弾くときは、音がこもるので「ボーカルがいない箇所」で使うと効果的です!平成で最も売れた二人組ロックユニットのギタリストや夏の代名詞的バンドのギタリストも、曲のギターソロなどで頻繁にフロント・ピックアップに切り替えてるのがライブ映像などで見られます。
こういったところもトッププロからどんどん盗んでいきたいですね。

どこか“歌う”ようなニュアンスがあるのがフロント・ピックアップの魅力だと筆者は思います。

 

リア・ポジション

次はリア・ポジションです。

リア・ポジション(レスポールならトグルスイッチをTREBLEの位置、テレキャスターならレバーを一番ブリッジ寄りの位置)はブリッジに一番近いリア・ピックアップを使っている状態のことです。

一番はっきりした音に聞こえると思います。「キンキンした音」、「キラキラした音」とよく形容されますがポップスやロック、へヴィメタルをやるにはぴったりのトーンが出せるポジションです。

特にボーカルがいるバンドではボーカルを邪魔することなく綺麗なアルペジオを弾いたり、他楽器の帯域を潜り抜けてハードなディストーションでガツンとバッキングを奏でられます。へヴィメタルギタリストの中にはこのリア・ポジションしか使わないためか、リア・ピックアップ1個しか載せてないギタリストもいますね。
フュージョン等の音楽スタイルでもここぞという時に飛び出すようなトーン、そういった“叫び”を表現できるポジションだと筆者は感じます。

 

フロント+リアのミックス・ポジション

2個のピックアップを搭載したギターは大抵どのスイッチ(トグルスイッチ、レバー…)も真ん中にするとフロントとリアを両方使っている状態、所謂ミックス・ポジションの状態になります。

フロントとリアがミックスされるととんでもない凄い音!になるはずもなく…ご想像の通り両者を足して2で割った“良いとこ取り”な音になります。リアのキラキラした部分を少し丸めたような、こもり過ぎず抜けの良い音、アタック音をのこした丸いコロコロした音、そんな音です。

この後解説します3個のピックアップを載せたギターのミドル・ピックアップの音に似ている(全く一緒ではない)ところもあり、ミドル・ピックアップ単体の音より少し低音を足したサウンドに感じます。カントリーミュージックやアコースティックな音作りをしたいときに一度試してみると面白いかもしれません。

 

ピックアップが3個のギターの場合

ストラトキャスターやIbanez、ESP、Charvel等ピックアップが3個ついているギターについてです。
大抵のギターの場合、フロント単体、フロント+ミドル、ミドル単体、ミドル+リア、リア単体の5通りのポジションを選択できます。フロント・ポジションとリア・ポジションについては既に解説しましたので、その他の3ポジションの音特性を見ていきましょう!

 

フロント+ミドルのミックス・ポジション

よほど改造しまくったストラトキャスターでない限り(笑)、一般的にはピックアップ・セレクターのレバーを一番ネック寄りの位置から一つブリッジ側に切り替えるとフロント・ピックアップとミドル・ピックアップを両方出力するフロント+ミドルのミックス・ポジションになります。

フロント・ポジションより一段階ブリッジ側の音質特性を加えることになるので、少し歯切れよさとキラキラ感を足した音をご想像下さい。“鈴鳴り”なんて形容されるような音ですが、ブルース系のギタリストがアルペジオを挟んだフレーズなどを弾くときによく使っているポジションです。

 

ミドル+リアのミックス・ポジション

ストラトキャスターで言えばピックアップ・セレクターを一番ブリッジ寄りにした位置から一つネック側に切り替えるとミドル+リアのミックス・ポジションになります。

ここまで読んで頂ければ大体ご想像がつくと思いますが、リア・ピックアップに1段階フロント側の音特性が加わります。バンドでアルペジオの音を一歩引っ込ませたい時や、例えばレコーディングで一歩違うトーンが欲しい、なんていう時に何かインスピレーションになるかもしれませんね!

 

ミドル・ポジション

3個のピックアップが搭載されたギターにおいて、レバーを真ん中の位置で止めて真ん中のピックアップだけを使っている状態がミドル・ポジションです。

先述の通りフロント+リアのミックスポジションンに似ていますがこのミドル・ピックアップ単体の音の方が低音がなく、カラッと乾いた音のように筆者は感じます。少しミュートをかけたアルペジオフレーズ等に最高で、カントリーミュージックなんかにはもってこいのサウンドです!

真夏のグランドキャニオンや灼熱のテキサス!砂漠にテキーラとサルサチップスとサボテン!あのカラッとした熱いスピリットを感じます!

 

まとめ

星野講師
以上、エレキギターのピックアップ・ポジション別の一般的な音質特性を解説してみました。

文中でも少し触れましたが、「俺にはリア・ピックアップ1個しかいらない!」というスタイルも全然ありですし、「あえてモコモコなフロント・ポジションでメタルをやる!」、「僕はリア・ポジションのバキバキな音でジャズやるんだ!」でもいいと思います。

結局は自分の出したい音を出せることが大事なんだと思います。エレキギター本体やエフェクター選び等、また弾き方など本当の意味で正解がない、自由な発想が許されるエレキターの世界です。

今回の「ピックアップ(PU)ポジションによって音はどう変わるのか?」のまとめとしては…

1. 使うピックアップ・ポジションによって音は変わる。
2. ネック寄りは丸くモコモコした音←→ブリッジ寄りはザクッとキラキラしたはっきりした音。
3. 最後は自分の耳を頼りに、好きな音を見つける!

といったこととなります。
練習やレコーディングで行き詰っているときにピックアップ・ポジションを変えることが何かのヒントになるかもしれませんね!

それでは次回のブログでお会いしましょう。ABCミュージックスクールギター科講師の星野尚紀がお送りしました。
また次回お会いしましょう!

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