間違わないギター選び!第5弾 ~ギターのスケール編:ロングスケール、ミディアムスケール、ショートスケール~
今回はギターの「スケール」についての一般的な知識について少しお話をしようと思います!
一言に「スケール」といっても音楽的な音階の話ではなく、今回はギターの構造上の「弦長」についてフォーカスを当てていきます。
ギター選びの際にネットや販売店で「ロングスケール」や「ミディアムスケール」、そして「ショートスケール」等といった言葉を耳にするのではないでしょうか。いったいそれらがどう違うのか、弾きやすさやサウンドの傾向について解説しようと思います。
それらを知った上でお目当てのギターを選べば「こんなはずじゃなかった…」なんてことにはならないはずです!
それでは早速いってみましょう!
そもそも「スケール」って何?
ギターの構造上の「スケール」とは所謂「弦長」のことです。漢字にするとなんだか難しそうに聞こえますが、文字通り「弦の長さ」です。ブリッジのサドル部からナットまでの弦の長さを指します。
一般的に売られているギターは下の3つのいずれかのスケールで設計されているはずです。
ロングスケール … 約648mm
ミディアムスケール … 約628mm
ショートスケール … 約610mm
ロングスケールとショートスケールに約38mmも差があることを考えると、音への影響はもちろんのこと、同じチューニングでも弦のテンション感、そして何よりネックの長さに違いが出てきます。
だからこそ「ショートスケールのギターは小柄な方にオススメ!」と言われるわけです。
因みに同じチューニングで比べる場合、弦が長い方がテンション感(張る力)は強くなります。
ロングスケール ~ストラトキャスター、テレキャスター、ジャズマスター等~
ロングスケールのギターは弦長が約648mmで設計されています。
フェンダー系のギターの多くはこの規格で設計されており、ストラトキャスター、テレキャスター、ジャズマスター等が代表的なモデルです。
3種類のスケールのギターを同じチューニング、同じ弦ゲージで比べた場合、弦のテンション感は強めと言えます。
しっかりした強さで張ってあるため、ロングスケールのギターは“音の立ち上がりがはやい”という言い方をする方もいると思います。要するに弾いた弦の反応(立ち上がり)がはやい、という感覚です。例えるならピンと張った糸を弾くと“鋭く振れる”ようなイメージです。
弦長が長い設計なのでネックの1フレットは遠くなります。
ミディアムスケール ~レスポール、SGフライングV等~
ミディアムスケールのギターは弦長が約628mmで設計されています。
代表的モデルはレスポールやSG、フライングV、エクスプローラー等、ギブソン系ギターに多いです。
同チューニング、同弦ゲージで比べると中間的なテンション感と言えます。
ロングスケールと比べてもサドルからナットまでの長さ(弦長)が20mm(2cm)しか変わらないので、そこまで違和感は感じないと思います。フレットの間隔が気持ち短く、「弾きやすくなったかな?」といった感じだと思います。
音についてはロングスケールのギターと比べると僅かに立ち上がりが鈍く感じる方もいるかもしれませんが、心配はご無用。数々の名演を残してきたギターヒーロー達が使ってきたギターはスケールなんて関係ありませんから!
ショートスケール ~ジャガー、ムスタング等~
ショートスケールのギターは弦長が約610mmで設計されています。
フェンダーのジャガーやムスタングが代表的モデルです。近年の音楽シーンの流行りのサウンドに「ジャリっ」としたサウンドが似合うせいか使用アーティストが増えてきているようにも思えます。
同チューニング、同弦ゲージで比べた場合3つのスケール中最もテンション感が緩いはずです。弦長が短いので当たり前ですね。この“緩さ”所以の“ルーズ”なサウンドが特徴です。
先述の通り、ロングスケールと比べると約38ミリも弦長が短いのでネック自体も短く感じるはずです。テンション感が緩いので左手の押し弦が弱くて済みます。だからこそ小柄な人にぴったりと言われるわけです。
ショートスケールのギターのデメリットについて少し触れておくと、テンション感が緩いが故にチューニングが狂いやすいという点があります。しかしながら、弦ゲージを変えてテンション感を強くする、ロック式ペグをつける等対策はいくらでもあります。
よほどチューニングが安定しないギターならとっくのとうに生産中止になっているはずです(笑)。カート・コバーンやジョニー・ウィンター等、ショートスケールのギターで名演を残しているギタリストも沢山いますからね!
まとめ
ロングスケール、ミディアムスケール、ショートスケール、それぞれの構造的な違いやサウンドの特徴について少しでもイメージができましたら幸いです。
ギター選びの際は1に見た目、2に見た目、3と4がなくて5に見た目、と口を酸っぱくして「ルックスで選ぶ」事を推奨している筆者ですが、耳が肥えてきて、ご自身の好みのサウンドがわかってきたタイミングでこういった要素をギター選びのポイントにするのもいいかもしれません。
以上の内容をまとめると…
1. ロングスケール
・弦長約648mm
・テンション強め
・立ち上がりがはやいサウンド
2. ミディアムスケール
・弦長約628mm
・テンション普通
・中間的な特徴
3. ショートスケール
・弦長約610mm
・テンション緩め
・ルーズなサウンド
・チューニングが狂いやすいという意見もチラホラ。でも対策はいっぱいあるので心配ご無用!
「〇〇スケールのギターでないと〇〇を弾けない」なんて事はありませんし、現に多くの名プレイヤー達が伝説的名演を残して行っています!大事なのはハートを燃やすこと!
それではABCミュージックスクールギター科講師の星野尚紀がお送りしました。また次回お会いしましょう!