ピックアップの高さを制するものはトーンを制す！
今回はエレキギターのメンテナンスにおいて、音色に大きな影響を与える「ピックアップの高さ調整」について少しお話をしようと思います！
エレキギターの心臓部である、音を拾う役目を担うパーツの「ピックアップ」。これ無しではエレキギターは音は出ません。
幸運にもエレキギターのピックアップは基本的にネジで止まっており、高さ調整が容易にできるモデルが多いです。そのネジを回して、ピックアップを弦に近づけ/遠ざけることで、お金を一切かけずにご自身のギターのダイナミクスやトーンを変えることができるのです。
筆者も音大在学時にストラトキャスターを使いながら、「どうもウェス・モンゴメリーのあの太く、音圧のあるオクターブ奏法の音が出ない」、「ケニー・バレルの太い1音1音のトーンが出ない」と悩んでいた時に、フロント・ピックアップの高さを変えたことがきっかけで、少しずつイメージ通りの音が出るようになったことを思い出します。そんな実体験を通しての解説や、オススメセッティング方法などご紹介しようと思います。
それでは早速いってみましょう！
近づける=ダイナミクス増。遠ざける＝ダイナミクス減
ご自身のギターで試して頂くとより分かりやすいと思うのですが、ピックアップの高さを高くして弦に近づけると、ピッキングの強弱等音のニュアンスがより鮮明に出力されると思います。特にクリーントーンではよりハッキリわかると思います。
逆にピックアップを低くし、弦から遠ざけるとある程度出力が下がり、一定になるように聞こえると思います。
高さ設定については、ピックアップの磁石が弦振動に影響を及ぼす程高くするのはあまり得策とは思えません。かと言ってボディとほぼ同じ高さになるような、低すぎるのも避けたいところです。
弦振動がピックアップの磁力の影響を受けない程度の高さで目一杯ピックアップを近づけるのが筆者的にオススメです！
6弦側~1弦側フラットではなく角度をつける
もう一つセッティングアイデアとしては、6弦側~1弦側にかけてフラットではなく、多少1弦側が高くなるような角度のついたセッティング方法です。
何故こんなことをするかというと、そもそも6弦と1弦の太さが何倍も違うからです。
筆者の経験上ジャズやフュージョンなど、高音弦側で弾いた時により”太さ“が欲しい時などに有効です。結構ダイナミックになります！
筆者のオススメセッティング
最後にご紹介するのは筆者のオススメセッティング方法です。
フロントピックアップとリアピックアップ、基本的には後者の方が出力が低いと思いますのでまずはリアピックアップを設定します。
上述したように、弦振動に影響を及ぼさない程度に目一杯上げて、6弦側~1弦側の弦を弾いた時に全部均一に鳴るようにします。この時多少(6弦側~1弦側に)角度がついても問題ありません。
あとはリアピックアップからフロントピックアップに切り替えたときに音量差がないようにするだけです。
磁界が弦振動に影響を与えているかどうか見極める方法は、弾いた時に明らかにサステインがなかったり、減衰の仕方が不自然である場合等耳で判断することができます。又、金属ドライバーなどを弦と同じ位置に持ってピックアップの磁石の磁力を感じるかどうかで判断する方法もあります。
色々試して見て、お好みセッティングを探って見てください！
まとめ
お金をかけずに手軽にご自身のギターをパワーアップさせる手段として以外と知られてない有効な手段だと筆者は思います。
セッティング方法についても必ずリアピックアップとフロントピックアップが同音量である必要はありません。プレイスタイルによってはフロントピックアップの出力を少し強めに設定しておくプレイヤーもいるでしょう。
やはり、プレイヤーそれぞれのプレイスタイルにあったセッティングをするのがベストだと思います。
さて、以上の内容をまとめると…
１. ピックアップを弦に
近づける=ダイナミクス増。音量大
遠ざける＝ダイナミクス減。音量小
２. 6弦側~1弦側フラットではなく角度をつける → 高音弦側に”太さ“を！
３. 筆者のオススメセッティング
リアピックアップを目一杯上げてセッティング → フロントピックアップを同出力になるようセッティング
※“正解がない世界”ですので他のセッティングでも全く問題ありません！ご自身のプレイスタイルを作れれば是非それでいきましょう！
「みんな違ってみんな良い」。だからこそギターは最高ですね！
ABCミュージックスクールギター科講師の星野尚紀がお送りしました。また次回お会いしましょう！
