間違わないギター選び! 第2段 ~トレモロブリッジ V.S.ノントレモロブリッジ 編~
今回はギター選びの時に知っておきたい「ブリッジがトレモロ・タイプとノントレモロ・タイプの違い」について少しお話をしようと思います!
大きく分けてトレモロ・タイプとノントレモロ・タイプに分けられるブリッジというパーツ。要するにアームをつけて“揺らす”ことができるか、できないかが大きな違いです。
ヴァン・ヘイレンやステーヴ・ヴァイのような派手なアーミングを駆使したプレイスタイルが好きなのか、ザック・ワイルドのような“ずっしり”パワフルなプレイスタイルが好きなのか、それによって選ぶギターは大きく変わってきます。ギターを選ぶ際はここら辺に気をつければ「アーム使いたかったのにトレモロがついてない…」なんてことにならずにすむと思います。
トレモロ・タイプの基本的機能やノントレモロ・タイプとのサウンドの違いについても筆者なりの経験をシェアしていきたいと思います。
それでは早速いってみましょう!
そもそもトレモロとは?
トレモロとはギター本体のブリッジの一種です。
金属の棒状のバーをねじ込み/差し込み、それを押す/引くことで弦の張力を操作する仕組みです。これによって大幅な音程変化をピッキングする手でつけることができるのです。
トレモロにも種類があり、ジャズマスター に通常搭載されているようなフローティング・トレモロという微妙な音程変化で“揺らす”タイプもあれば、フロイドローズ・ブリッジのように大幅に“揺らす”ことができるタイプもあります。
逆にレスポールに代表されるようなブリッジを“揺らす”機能が一切ないブリッジをノントレモロ・タイプといいます。
トレモロの載っているギターを無理やりノントレモロ(ブリッジが動かないよう)にすることは一応できますが、ノントレモロのギターにトレモロ・ブリッジをつけるのはほぼ不可能と思っておいて下さい。大掛かりな木工改造が必要になります。
一応補足しておくと、最近はFloyd Rose社のFRXという、レスポールタイプのギターに木工加工なしでトレモロをつけられる製品もあります。
表現力の幅
トレモロ・タイプとノントレモロ・タイプ、どちらが表現力の幅が広いかと言われれば恐らく、トレモロ・タイプだと思います。
瞬間的な音程変化、またギターはアームを使わない限り「音程を下げる事」はできません。フィンガリングする指では難しい微妙な音程の“揺れ”もトレモロの得意とする部分だと思います。
しかしながら、じゃあ「ノントレモロ・タイプ」のギターでは表現力足らずなのか?
そんなことはありません、ザック・ワイルドの表現力たるや凄いじゃないですか!
いかにギターを操り、音楽を奏でるかであってそこにアーミング奏法が必要かどうかで考えるといいかもしれませんね!
音
次は音の違いについて。
これはかなり筆者の主観が入ってしまいますが、トレモロ・タイプのブリッジを搭載したギターの音ってどこか“浮いている音”に感じます。逆にノントレモロ・タイプのブリッジが搭載されたギターは“どっしりした音”に感じます。
これはもう好みの話だと思います。聴いている側というより弾き手が感じる差ですね。ザック・ワイルドのあのパワフルな重低音はかなりの武器になりますが、ヴァン・ヘイレンの音も“重く”感じますよね?
決して優劣がつく話でもないように思います。要するにギター、周辺機材含めどうやって使うか、です。
弦交換
最後の比較は「弦交換のしやすさ」について。
これはもう確実にノントレモロ・タイプに軍配が上がると思います。弦を緩めて、切って、新しいの張って、チューニングして完了!
トレモロ・タイプの弦交換というのは小さな手間が増えます。まず弦緩める前にトレモロを布か何かで固定して…。張り上げてチューニングする際も何度か合わせないと安定しません。
といいつつも筆者の愛用ギターはトレモロ・タイプ、しかもフロイドローズ・トレモロです!(笑)あの、好きな音楽かけてのんびり弦交換している時間が、何とも幸せな時間です。
まとめ
最終的な判断や選ぶポイントは「どんなギターが弾きたい?!」だと思います。
アームでギュインギュインに弾きまくりたいのか、「アームなんて、男じゃねぇ!」とレスポールでパワフルに押し切るのか?!
以上の内容をまとめると…
1.そもそもトレモロとは?
ピッキングする手で音程変化をつけられる。トレモロにも種類がある(フローティング・トレモロ、フロイドローズ・トレモロ…)
ノントレモロ・タイプのギターにトレモロをつけるのはかなり大変…
2.表現力
トレモロ・タイプの方が微細な表現が可能
ただし弾き方次第、ノントレモロ・タイプのギターで名演を残したギタリスト多数!
3.音
トレモロ・タイプ=”浮いた音“
ノントレモロ・タイプ=”どっしりした音“
”浮いた音“が必ずしも軽い、という意味ではない
4.弦交換
ノントレモロの方が圧倒的に弦交換しやすい
トレモロタイプは慣れれば問題なし!
ギターってプレイスタイルによって搭載されるパーツが一本一本違うのをじっくり見るのも楽しさの一つですね!
ABCミュージックスクールギター科講師の星野尚紀がお送りしました。また次回お会いしましょう!