間違わないギター選び!第3弾 ~フルアコ、セミアコ、エレアコ編~
今回はギター選びの際に知っておきたい「フルアコ」、「セミアコ」、「エレアコ」それぞれの違いやエフェクターなどとの相性、使用頻度の高い音楽ジャンルについて解説しようと思います!
ジャズやフュージョン、そしてアコースティックな音楽ジャンルで使われることの多い「〇〇アコ」タイプのギター。ギターを始めた頃って最初はどれがどういうタイプのギターなのか、それぞれの違いってわかりにくいですよね?
ハードロックのシーンではセミアコを使っているギタリストを最近では見かけるようになりました。Foo Fightersのデイブ・グロールやAvantasiaのサシャ・ピート、Bon Joviのフィル・エックス等…etc。
しかしフルアコやエレアコでギンギンのハードロックを演奏しているギタリストは未だにあまり見かけません。というのも構造上ディストーションのかかった音作りが難しいためです。
フルアコでヘヴィメタル、それも面白い組み合わせかもしれませんが(笑)前例が少ない(ほぼいない)というのとサウンド的にも見た目的(笑)にも分不相応と考えるのが妥当でしょう。
ジャズもフュージョンも好きだけどロックも演奏してみたい、なんていう方々がギター購入後に「こんなはずじゃなかった…」とならないように、こちらの記事を参考にして頂ければと思います。
それでは早速いってみましょう!
フルアコ
正式名称はフル・アコースティックギター。
言葉通りギターの内部が完全に空洞になっているギターです。そのボディトップにピックアップをつけてあるタイプが殆どで、その丸く、太い、暖かみのある音はジャズに打って付けのサウンドです。
チャーリー・クリスチャンに始まり、ウェス・モンゴメリーやグラント・グリーン、ケニー・バレル…。名だたるジャズギタリスト達が使ってきました。
サウンドホール(ボディ両側のf型の穴)がさほど大きくないためアコースティックギター程ではありませんが、アンプに通さずとも生音の音量もある程度あります。
フルアコの弱点はディストーションをかけるとハウリングしてしまうところ。
そもそもハードロック用に作られていないのでしょうがない部分もありますが、フルアコにしかない太い、空気感のあるあの音は何物にも変え難い音です。ジャズやフュージョン、ブルース等落ち着いた音楽ジャンルの演奏に向いているといえます。ヴァン・ヘイレンのようなハードロックを弾きたい方は間違っても手を出さないように!
セミアコ
正式名称はセミ・アコースティックギター。
ギターの内部に空洞部があるのはフルアコと共通しているのですが、その空洞部が狭くなっているのがこのセミアコタイプです。
ピックアップの真下の部分に木が詰まっています。空洞部があるのでソリッドギターより空気感のある音で、“太く”感じる方も多いと思います。しかしフルアコより空洞部が狭いのでアンプに繋がない生音は小さめです。過度な期待はしないように。
続いてディストーションサウンドとの相性ですが、冒頭で書いた通り最近ではハードロックシーンでもこのタイプのギターを使うギタリストが増えてきました。結構深く歪ませてるプロも多く、太いディストーションサウンドを奏でています。
ジャズ、フュージョン、ブルース、さらには音作りを気をつければハードロックまでいける、そんな幅広く使えるタイプのギターです。
エレアコ
正式名称はエレクトリック・アコースティックギター。
まず大前提としてこちらは“アコースティックギター”の分類であって、“エレキギター”のタイプではないというのが大きなポイントです。多くの方が思い浮かべる普通のアコギに、ケーブルを通してアンプ等に繋いで電気的に音を出す機能がついた物をエレアコと呼びます。
ギターの中は完全空洞ですし、普通のアコギと何ら変わりません。空洞部も広いですしサウンドホール(アコギの場合はボディど真ん中の丸い穴)も大きいので生音も大きいです。
エレアコのピックアップというのは少し特殊でブリッジ(白い棒状のパーツ)の下に弦振動を拾う「ピエゾ・ピックアップ」というのが採用されているのが殆どです。
弱点はやはり空洞部の広さゆえにハウリングが起きやすいことでしょうか。ディストーションサウンドは向かないといえます。
そもそもの構造がアコギなのでフルアコよりさらにアコースティックなサウンドを求めているプレイヤー、もしくはアコギをアンプに繋げて演奏したいプレイヤーに向いています。
得意ジャンルはジャズ、フュージョンやブルース、ポップスそしてなんと言っても弾き語りでしょうか。
まとめ
最終的に選ぶポイントは「どんなジャンルの音楽を主に弾きたいか」だと思います。
ジャズもフュージョンもハードロックも全部一本で、という方の多くはセミアコがベターだと思いますし、「ジャズや落ち着いた音楽しかやらない!」という方はフルアコで問題ないでしょう。同様に「満員の青空ステージでアコギをかき鳴らしたい!」という方にはエレアコがオススメです。あえて自分がやりたくないジャンルを合わないギターで弾く必要はないですからね(笑)。
以上の内容をまとめると…
1. フルアコ
中身は全空洞。太く、暖かい、空気感のある丸い音。生音そこそこ音量出る
ジャズ、フュージョンにオススメ!
ディストーションサウンドは不向き
2. セミアコ
中身は半空洞。フルアコやエレアコには劣るが、ソリッドよりは太く、空気感のある音。生音の音量はあまり期待しないように
ジャズ、フュージョンは勿論、ハードロックで使うギタリストも最近増えています!
多ジャンル対応可能なギター
3. エレアコ
中身は全空洞。アコギの音そのもの
ケーブルでアンプ類に繋いで音を出力することが出来るアコギ
音楽ジャンルに関しては何でもあり。ただしディストーションサウンドは得意ではない
ABCミュージックスクールギター科講師の星野尚紀がお送りしました。
また次回お会いしましょう!