魅惑のワウ・ペダル ~定番から魔術的使い方の世界へようこそ~

Electric guitar and synthesizer with light effect

魅惑のワウ・ペダル ~定番から魔術的使い方の世界へようこそ~

星野講師
こんにちは!ABCミュージックスクールギター科講師の星野尚紀です。

今回のお題はワウ・ペダル。一にワウ!二にワウ!三四がなくて五にワウ!なんて言うくらいにギタリストのペダルボードに居座る大仏的エフェクターです。
今回はその定番使用法から、さらにはアバンギャルドな使用法までご紹介したいと思います。

これを読み切った頃にはあなたもワウドランカー(ワウ中毒者)間違いなし!特効薬はありません!覚悟して、行ってみましょう!

“ドがつく”どころではないくらいのド定番使用法

まずはド定番使用法のご紹介します。
ギターを弾かない人でも必ず聴いたことがあるといっていいほどオーソドックスな使い方です。

洋邦楽問わずアイドルの曲やロック、ポップス、R&B、ファンク、フュージョン…まあ要するにジャンル関係なく音楽をかけたら聴こえてくるあのサウンドです。
ギター奏法においては“カッティング”という、素早く弦を連続してストロークしていく奏法があります。筆者はこの“カッティング”をギターでパーカッションの役割を模倣したような奏法だと考えていますが、ギターで行う最大の利点は音階があることでしょう。

 
楽曲にギターで色付けしたいがあまり主張させたくない、そんなときに使うとより音楽が豊かになるのがカッティングです。そのカッティングに合わせてワウ・ペダルを踏んでいくのが最も定番の使い方です。

 
16ビートの音楽などで曲のコード進行に合わせてコードもしくはコード・トーンをカッティングしながら四分音符の位置でリズミカルにペダルを踏み込みます。すると“チャカポコ・チャカポコ”と滑稽な音が出るではありませんか。
これが聴こえたら「犯人はあなたですねぇ?、ワウ・ペダルさん」、なんてかつての古い畑の刑事ドラマの場面が浮かんできそうですが…。

まあ事件解決云々は置いておいて、例としてIsaac HayesのTheme from Shaftを聴いてみればすぐにお分かりいただけるのではないでしょうか。この曲では必ずしも四分音符で踏んでいるわけではありませんが、ニュアンスは感じ取って頂けると思います。

この“滑稽”な響きがファンクやソウルミュージック、R&B等の音楽のサウンドに似合っていた、またそのミュージシャンの精神的な余裕や遊び心を刺激して定番の使用法として定着したのではないでしょうか。

 

電源入れて、放っておくだけ…“半止めワウ”

「ワウ・ペダル」と聞いてあの「白黒フライングV」を思い浮かべたそこのあなた、ハードロック・へヴィメタルファンですねぇ?
ギタリストの間では有名すぎる話だがマイケル・シェンカーといえばワウ・ペダルで自身のシグネチャートーンを作ったギターの“神”です。

 
しかしその使用法は前後に踏み込んで操作するのではなく、むしろOnにして一切踏まないという発想の転換的方法でした。

 
「あるときワウ・ペダルで遊んでいたときに特定の角度にしたら自分の好きなトーンになった」と答えているインタビュー映像がありますが、その“半止めワウ”サウンドとしての使用法を最も有名にしたのが彼です。

ワウ・ペダルというものはそもそもある特定の周波数をブースト(増幅)させることでトーンを著しく変化させ、そのブーストする周波数帯をペダルで操作するエフェクターです。

それをあえて前後には踏みこまずにOnにしたら“放っておく”、という使い方で得られるトーンは非常に特徴的です。“鼻づまりトーン”と表現する人もいますが、言葉で説明するとローを根こそぎ切り取ったトーンとでも言おうか、一気に“浮いた”サウンドになります。
市場ではペダル型ではないフィクスド・ワウという、スイッチを押すだけでこの“半止めワウ”サウンドをいとも簡単に作れるエフェクターもあります。

マイケル・シェンカーに影響を受けたと公言するギタリストもこぞってこの使い方をしているのを見ると、プロ・アマ問わずギタリストはみな永遠の“ギター・キッズ”なんだなぁと思ってしまいます。
余談ですが、この“半止めワウサウンド”を好むギタリストはフライングV型ギターの使い手が多いのは気のせいでしょうか…

今すぐギターとワウをもって自分のシグネチャートーンを探しましょう!

 

必殺・“泣きのギター”をドラマチックに…

ここまでくるとワウドランカー黒帯級といったところでしょうか。果たして古い畑の刑事は何段なのでしょうか…?
おっと、また脱線するところでした。

もう一つ代表的なワウ・ペダルの使い方としてブルースやハードロック・へヴィメタルのギタリストの多くに見られる、ギターソロ等の“泣きのギター”にワウ・ペダルを踏んで音をよりドラマチックに、エモーショナルにする使い方があります。

 
効果的な使い方は特に長い音価の音、ロング・トーンを弾いたときにペダルをつま先側に踏み込むことです。

 
そうすることで単なるロング・トーンに波のような効果が加わり聴感上“動き”を感じ、後ろで鳴っているコードと相まってギターソロがよりドラマチックに彩られます。
まるで白黒映画がカラー映画に復刻したような、人生にBGMが流れ出したような…。(「ローマの休日」のカラーなんてあったら、観てみたいなぁ…)

このテクニックを駆使して“泣きのギター”を弾けばプロポーズも大成功でしょう。
しかし、彩りたい音を弾いたときにペダル操作を間違うと全く“抜けない”音、大惨事になることもあるので、そこだけ注意してもらいたいです。やはり一に練習!二に練習!…です。ギターソロもプロポーズも、予行演習と心の準備を万全に臨みましょう。

 

“馬の鳴き声”と“笑い声”

タイトルだけ読むとホラー感満載ですが、最後に紹介するのは今までの定番使用法からは飛躍したアバンギャルドな使い方です。

ギターインストゥルメンタルミュージックの先駆者の一人、Steve Vaiというギタリストをご存じでしょうか?彼のキャリア、音楽とギターに対する情熱や姿勢等ミュージシャンとしての功績を挙げていったら枚挙にいとまがありません。

自宅の薔薇とフェンスが楽譜に見えたことからそれを元に作曲したり、ある時期は自宅にピラミッドをつくりその中にこもって自分にしかわからない言語で日記をつけていたこともあるなど、非常にアーティスティックな一面を持つ超一流ギタリストです。

それもそのはず。
彼がワウ・ペダルを手にした日には動物の鳴き声や疑似音をギター一本で表現してしまうのです。

代表作を挙げるとすれば、
へヴィなサウンドをベースにアームとワウ・ペダルを併用して、
時折“馬の鳴き声”を表現した楽曲Bad Horsieと、冒頭から人の“笑い声”を弾くButler’s Bagでしょう。

アームを使うタイミングやワウ・ペダルを踏むタイミングなど完璧です。さすがギターを持った“魔術師”。
アクセントとしてではなく大胆にワウ・ペダルをフィーチャーした使い方です。

 

まとめ

星野講師
いかがでしたでしょうか?
筆者はオーストラリアへの武者修行・音楽留学時にもワウについて論文を書いた経験がありますが、それをもとにワウ・ペダルの代表的使用法についてまとめてみました。

“音程”ではなく“音質”を操るためのワウ・ペダル。例えばトレモロや他エフェクトなどと併用して新時代のギターの音を作っていくヒントになれば幸いです。

1. ド定番の「チャカポコ」使用法
2. “半止めワウ”サウンド使用法
3. “泣きのギター”をよりドラマチックに彩る使用法
4. “声”を表現する飛び道具的使用法

以上の4点についてワウの使用法をご紹介させて頂きました。

ABCミュージックスクールギター科講師の星野尚紀がお送りしました。
それではまた次回お会いしましょう!

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