ボーカルレコーディング7つのテクニック

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ボーカルレコーディングにおすすめなテクニック7選

菅谷講師
こんにちは!ABCミュージックスクールDTM教室科、講師の菅谷豊です。

今回はワンランク上のボーカルレコーディングを目指そう!!という事で、ボーカルレコーディングに役立つ7つのテクニックや注意点を書いてみました。

シンガーソングライターの方や歌ってみたなどで自分で歌ってレコーディングする方、エンジニアを目指す方、セルフでボーカルレコーディングするクリエイターなど、最近はレコーディングが身近になってきましたよね。今より高いクオリティでボーカルレコーディングが出来るようになりたくないですか?
お金がかかる機材もありますが、簡単に出来る事もあるので是非参考にしてみて下さい!

1、マイク

音の入口としてとても重要な機材ですね。
プロの現場では、歌う人の声質、曲によってマイクを変えます。

種類

まずはマイクの種類について解説していきます!
レコーディングでよく使うダイナミックマイク、コンデンサーマイクの2種類は皆さんも聞いた事があるかもしれません。他にもリボンマイク、真空管マイクなどありますが、今回は王道の2種類・ダイナミックマイクとコンデンサーマイクの解説をします。

・ダイナミックマイク
ダイナミックマイクはスタジオやライブハウスでよく見かけるSHURE SM58が代表的です。簡単に説明すると、感度が低いので繊細な音を拾うのには向かないですが丈夫。湿気にも強く電源を必要としない。1万円代でも良いものが買え、ライブに向いています。

・コンデンサーマイク
コンデンサーマイクの定番はレコーディングスタジオにあるNEUMANN U87AiやAKG C414などでしょうか。コンデンサーマイクは、繊細で細かい音まで拾います。湿気に弱く管理が大変。振動にも弱いのでマイクホルダーはショックマウント式にした方がよく、電源が必要。

安いものは数千円~ありますが、最低でも2~3万円くらいは出したほうが良いです。
レコーディングに向いています。

コンデンサーの方がレコーディングに向いていますが、ダイナミックマイクで録っても腰のある音でロックやラップなどに合う場合もあります。

電源って?

ちなみに電源はキャノンケーブル(XLRケーブル)経由でオーディオインターフェイスや、マイクプリアンプなどから電源を供給しています。
ファンタム電源、+48vと書いてあるスイッチがそれです。

ポップガード

レコーディング現場でよく見るこれ。
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これはポップガードというもので、「ぱ行」など声の破裂音や「は行」などの吹かれ(ボフっと空気が入ってしまう)を抑えるものです。

ボーカルレコーディング時の距離はマイクからポップガードまで2~3cm、ポップガードから口までが拳1つ分くらいで、あまりブレないようにしましょう。

マイクスタンド

マイクスタンドの高さも厳密に調整しましょう。
高すぎたり低すぎると喉が締まって歌いにくくなります。
スタンドがグラグラしてしまう場合は、スタンドの足部分に重りの入ったリストバンドや、砂の入った袋を付けましょう。

2、マイクプリアンプ

最近のオーディオインターフェイスにはマイクプリアンプ機能が内蔵されている事が多いので、単体使っている人が少なくなったようです。

マイクプリアンプは音量を増幅するもので、
言ってしまえば、ミキサーのゲイン部分だけ抜き取ったようなものです。

プリアンプも大きく音に影響します
NEVEやSSL、APIなど有名メーカーはたくさんありますが、メーカーや型番によって癖があります。良いものは音の密度が高くなったり、太くなったり、シルクのようなサラッとした滑らかさが出たりと様々です。真空管で音を増幅するプリアンプなどは、マイクだけではなくライン入力の楽器の音も太くしますので、

ラインで楽器をレコーディングする人にもオススメです。

私的には、シンガー+マイク+プリアンプでフラット気味より少し高音域が抜けて聞こえるくらいの音がベストかと思っています。ちなみにプリアンプにEQやコンプなど付いたチャンネルストリップというものもあります。

3、歌いやすい環境、防音環境

ボーカルレコーディングは歌に集中出来る環境があると非常に良いです。
専用のボーカルブースがある場合はいいですが、そうでなければボーカリストが歌いやすく集中しやすいように、エンジニアと背中合わせで歌ったり、別の部屋で歌うなど工夫してみましょう。

なるべく歌いやすい服装で、ヘッドホンをするので帽子などは外しましょう。
シャカシャカ音のでるナイロン製の服やジャラジャラしたアクセサリーも、マイクで音を拾う可能性があるのでやめましょう。

住宅事情などから歌声が外に出ないよう、防音にこだわる方は多いです。しかし同じくらい外の音や反射したボーカリストの声がマイクに入らないようにする事も大切です。

項目1で書いたコンデンサーマイクを使用していると、感度の良さから色々な雑音をマイクが拾ってしまいます。ボーカリストの声が壁に反射し、その音をマイクが拾い、妙にリバーブ感のある声になってしまう事ありませんか?

壁に吸音材を貼ったり、毛布などを吊るして音の反射を防ぐ事も出来ますし、最近はリフレクションフィルターというマイクを囲い遮音するアイテムもあります。
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(マイクの後ろを囲っているのがリフレクションフィルター)
リフレクションフィルターは音の反射を防ぐような素材を重ね、計算的に設計されているのでかなりデッド(音の反射がない状態)でレコーディングできオススメです。

私のスタジオではブース内に吸音材を貼り音の反射を防いでいますが、さらにリフレクションフィルターも使用しております。

4、ノイズ対策

自宅でレコーディングしていると気になるのがノイズですね。近くに冷蔵庫などの家電があるとノイズを拾いやすいです。ノイズが乗ってしまう場合は、ヘッドホンをしてマイクを移動させながらノイズのない場所を探しましょう。

マイクケーブルと機材の電源ケーブルがクロスしているとノイズが発生する場合があります。

豆知識
ちなみにスマホはノイズ源になる事が多いので、少し離しておいた方がいいです。

5、モニター環境

どんなに上手いシンガーでも、しっかりと音が聞こえなければ実力が半減してしまいます。
私は個人的に良いマイクや機材よりも、ボーカリストが歌いやすい環境を作る方が良い結果が生まれる事が多いと思っております。

商業用など、しっかりしたレコーディングスタジオでは、キューボックスというシステムでモニター環境を作ります。ただ費用がかかってしまう事と、自宅スタジオなどにはそこまで大掛かりな機材は必要ないので、小型ミキサーを使った簡易的なモニター環境がオススメです。

一例として私のスタジオのボーカルモニター環境です。
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オーディオインターフェイスのアウトが複数必要ですが、ボーカリストがレコーディング時に小型ミキサーで

・ボーカル単独
・クリック(メトロノーム)単独
・2mix
・AUX
を聞きやすく、歌いやすいようにボリューム調整できるようになっています。AUXには必要に応じてガイドメロや仮歌、ボーカリストが欲しいトラックを返すようにしています。

やり方としてはシンプルで、私の環境だとアナログ8アウトのオーディオインターフェイスにADATアウトが付いており、BEHRINGER社の8イン8アウトのADA8000というADATコンバーターをデジタルで接続。

16アウトに増やし使用しているので、そこからボーカル用ミキサーに各トラックを送っています。各トラックに何を送るかはCUBASEのルーティング機能で決めています。

もしインターフェイスのアウトが足りない場合は、別途ミキサーを用意してそこからアウトを別で出すか、インターフェイスのヘッドホンアウトを利用したりも出来ます。ボーカルはプリアンプ、もしくはインターフェイスに入る前段階でスプリッターなどで回線を2つに分けて、回線の1つをモニターに回す事なども出来ます。

6、クリック

項目5で少し触れたクリック(メトロノーム)も重要な要素です。
レコーディング時にはDAWのクリック機能を使うのではなく、クリック用のオーディオトラックを別途用意してモニターに送ってあげましょう。

というのも、最近はコンピューターのスペックが上がったのでほとんどありませんが、以前はDAWのCPU使用率が上がってくると、クリックがもたってしまう事がありました。
オーディオトラックで作っておけば少なくとも他のトラックから遅れるという事はありません。

DAWにもよりますが、クリック音がピッコッコッコのような電子音だと絶対音感により不快に感じる人がいます。そういう場合はカウベルの音やスネアのリムショットなど複数の音色を用意して回避しましょう。オーディオトラックだとクリックの拍数を倍にしたり、特定の小節や拍だけクリックのピッチを高くしたり出来ます。

CUBASE PRO 10だとクリック機能が強化され上記の問題をほとんど解決出来るようになりました。
しかし、ボーカリストが手元でクリックの音量を調整出来ると、クリックをオフにして聞かないという選択も容易なのでオススメです。

7、ディレクション

最後にディレクションです。
自分で歌う場合と他の人が歌う場合だと違ってきますが、何を基準にOKテイクとするか。上手いボーカリストや慣れている人であれば、2〜3個OKテイクを録って良いところ取りするのが一般的です。

しかし、例えばピッチが多少甘くてもノリや勢いが良ければ、ピッチは修正してOKテイクにする場合。
ボーカリストはピッチ修正は出来るだけしたくないと思います。

しかし、もう一回歌ってピッチもノリも勢いも完璧なテイクが録れるなら良いですが、ピッチに意識がいってしまいノリが悪いテイクになってしまっては意味がありません。何回か録ってみてもいいですが、ボーカリストの喉への負担もあります。なので、どこでOKとするかを見極めるのはディレクションの重要なポイントです。

最終な判断としてはボーカリストや制作者の想いも大切ですが、聞いてくれるリスナーが良いと感じるテイクを目指しましょう。

ボーカリストとは別の人がディレクションする場合、録り直す時や指示を出す時、
出来るだけわかりやすい説明をして、ぶっきら棒な言い方にならないようにしましょう。
気持ち良く、不安なくレコーディング出来る事は良い結果に繋がります。

まとめ

菅谷講師
いかがでしたでしょうか?
ボーカルレコーディングは高くて良い機材を揃える事も大切ですが、気持ち良く歌える環境でレコーディングする事も大切です。
工夫次第でより良い環境が作れるので挑戦してみて下さい!

以上、ABCミュージックスクールDTM教室科・菅谷豊でした。また次回、お会いしましょう!

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プロミュージシャン。作詞作曲、編曲 、サウンドプロデュース、レコーディング、ミックスまで高いスキルで行う。/Guitar RockからElectronica、民族音楽までエモーショナルで自由な発想で作品を作る。代表作にFUNKY MONKEY BABYS「Lovin’ Life」、遊助(上地雄輔)「ひと」「ESCAPE」作曲など