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奏法(アーティキュレーション)でさらなるメリハリを
以前書いたJ-POP、ロックのためのストリングスアレンジで解説してきた内容は、どちらかというとハーモニーやロングトーンといったアプローチでしたね。実はそれ以外にも様々な演奏テクニックがあり、それらをアーティキュレーションと呼びます。
大きく分けると弓で弾くボーイング奏法と指で弾くピチカート奏法があります。今回はそんなアーティキュレーションを紹介していきますね!
打ち込みによるアーティキュレーションの使い分け方
最近のソフト音源はキースイッチでピチカート奏法や弓のスピードの違う音色など変えられたり、モジュレーションやベロシティで弓のスピードや力加減の調整が出来る物もあります。
キースイッチがない音源であれば別トラックで別音色(音源の中にpizzやtremoloなどの名前がついた音色があります)を用意しておくのが一般的です。とは言え最近の音源でも再現できない、収録されていない奏法も多くあります。
とりあえずこういった奏法があるという事だけでも覚えておいて下さい。
音の立ち上がり
弓で弾くにしても擦るスピードや力加減によって音質だけではく音の立ち上がり方が変わってきます。
ストリングスを打ち込む場合も弓のスピードを意識すると生々しい仕上がりに近づきます。
実際にアレンジ上での使い分けは、ざっくり言うと2分音符や全音符などのサスティンが長い音(テンポにもよりますが)は、弓のスピードが遅くフワリと音が鳴る音色を使いましょう。
逆に駆け上がりなど速いパッセージの場合は弓のスピードが速く立ち上がりの速い音色を使うのがオススメです!(point.1)。
トリル
半音または全音で違う音程を交互に弾く奏法をトリルといいます。
あえてスケールアウトさせて揺れたピッチ感を出すことで緊張感のある演出ができますが、慣れないうちはアンサンブルの中では使いどころが難しいです。
ポップスではフェードイン、フェードアウトで一瞬出したりする手法がよく使われます。
レガート
スラーなど滑らかな演奏をする場合は、レガートという音色やキースイッチのパッチを使うと良いと思います。実際のバイオリンの演奏では、スラーなどで滑らかに音を繋げる際には弦を1弓で弾いています。それを再現するのがレガートです。
トレモロ
弓を小刻みに動かして細かく刻まれた音を出す奏法です。聞いてみると「あ!聞いたことある!」となると思います。
ピチカート奏法
弦を指で弾いて音を出す演奏を指します。
DTMで使用するストリングス音源は基本的に鍵盤を放すまで鳴り続くる持続音です。ピチカート奏法はギターやピアノなどと同じで、音を出してから減衰していく音色です。
なのでアンサンブル全体でアルペジオのようなフレーズを弾いたり、アタック感のあるフレーズを弾くのに向いています。
スピッカート奏法
弦の上で弓を跳ねさせるように弾き刻みよく音を出す演奏法です。
ピチカートと違い弓を使うことから、スタッカートを表現する場合に向いている奏法だと思います。
和音
バイオリンは単音楽器とおもわれがちですが、複数の弦を同時に弾いて和音を演奏する事もあります。ちなみに2音同時に弾く事をダブルストップ、3音同時に弾く事をトリプルストップと呼びます。
divisi(ディビジ)
1stバイオリンなどセクションを半分に分けて演奏するする事をディビジと呼びます(12人を6人+6人など)。
和声を増やしたい場合などにとても有効です。
まとめ
ストリングスに限らず生楽器を打ち込むのは非常に奥が深く難しいです。
しかし、生演奏を研究してみると打ち込みでも再現できる事が多く、楽曲に新たなアプローチができるようになります。
テレビや動画などで実際の演奏を見るだけでも参考になるので是非見てみて下さい!
以上、ABCミュージックスクールDTM教室科・菅谷豊でした。
また次回、お会いしましょう!