DTMとクラシック〜ジョンウィリアムズ編05 [コールオブザチャンピオンズ]

DTMとクラシック〜ジョンウィリアムズ編04 [オリンピックファンファーレ&テーマ]

2018年8月22日

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ジョン・ウィリアムズの世界2 コールオブザチャンピオンズ

こんにちは!ABCミュージックスクール作曲DTM科講師の関口です。

前回では、ジョン・ウィリアムズが手がけているオリンピックの曲から、「ファンファーレ&テーマ」について記事にさせて頂きました。

続いて、2002年ソルトレイクオリンピックのテーマ曲「コールオブザチャンピオンズ」をご紹介致します。

楽曲の特徴

楽曲の構成

A-A’-B-A’’-C-A’’’-A’’’’-A’’’’’

楽曲が合唱から始める大編成の曲です。3管編成の中でホルンが6本!ひたすらAの部分を変奏して構成されている特殊な楽曲です。また、パーカッションを始め、いくつかの楽器でキラキラした音が特徴的です。

ここがスゴイ!〜メロディーの変奏〜
メロディーをいくつ楽曲の中に入れるか、これは、多くの作曲家の腕のみせ所です。メロディーの繰り返しだけでは、単調で飽きてしまうでしょう。かといって、次々と新しいメロディーを入れると統一感が無くなってしまう。悩みどこですよね。

その中で、ジョン・ウィリアムズは5分の曲で、何と・・・3つのメロディーしか使っていません!!しかも、Aのメロディーは6回も出てきます!

何故同じメロディーをたくさん使用しているのに飽きないのか?各メロを1つずつ見ていきたいと思います。

皆さんは動画を再生しながら一緒に見てみてくださいね!

~メロディー別解説~

A・・・00:10

KeyDでメロディーが始まります。ホルン、トランペット、合唱のアルトによって演奏されます。トランペットが相槌を打つ様に裏メロを奏でます。

前半の14小節間は13小節目のサブドミナントに当たるEm7/G以外全て、トニックのDのコードです。

15小節目から全ての合唱が加わります。ここからの8小節間で初めて、コード進行が姿を表します。

ここでは全合唱と木管とホルンがメロディーを担当します。裏メロのトランペットに加え、トロンボーンがさらに新しい相槌を打ちます。

B・・・01:16~

ここではメロディーらしい動きは無く、絶えず、3連符系の動きを繰り返しながらG/CやE/Eなどのノンダイアトニックコードが登場し最後はA,B,のコードを経てKeyCに転調します。

A’’・・・01:33~

ここでメロディーがKeyCでホルンと弦楽器によって演奏されます。トランペットの裏メロの中身も変わり、さらに、コードが後半でBbでノンダイアトニックコードの後、Eに落ち着きます。これはフリギア終止というモードから来ている進行です。

C・・・02:06~

今までのパワフルな音楽から打って変わって、高音中心の美しい音楽になります。ここで、打楽器、ハープ、ピアノが美しい世界観を演出します。

A’’’・・・02:53~

KeyEでホルンとトランペット4番がメロディーになります。ここでの大きな変化は何と言っても、裏メロの位置に、冒頭の合唱が入る事でしょう!二つの主役が同時で並ぶのです!

A’’’’・・・03:35~

KeyAになり、トランペットがメロディーになります。合唱が入るのは同じであり、さらに発展させた物と考えられます。

A’’’’’・・・04:07~

最後のダメ押しでKeyCになり、メロディーをホルンとトランペット4番が務めます。合唱のソプラノの最高音はGになり、一気に盛り上がります。

エンディング・・・04:20~

一旦音量を落とし、コードをAにしてから、Dm,E,Am,Bb,そしてGを経てCに戻ります。ここで終わると思いきや、さらにAb,Gm,Bb,G,最後にようやくCにたどり着き、熱狂の中、曲は終わります。

まとめと考察

今回は一つのフレーズが持つ力をまざまざと見せつけられる曲になりました。
メロディーそのものは変えず、裏メロの導入や、Key、コード、オーケストレーションの変化、そして最後はメロディー同士を上手く組み合わせてしまうという技法・・・どれ一つ欠けても、この曲は完成していなかったでしょう。

作っている曲が完成せず悩んでいる方へ
「次から次へと浮かぶメロディーを書きたい!」それは作曲家の性分なのかもしれませんが、今回のような曲を知ると、「作曲は8小節出来れば完成した様な物だ」とすら考えられます。1つのフレーズをどう展開させるか、また次のフレーズでどう聴き手を裏切るか、それらが全て8小節のメロディーに隠されている。そう考えて作曲するのもとても有効な手段だと思います。

今回の解説が、皆様の作曲のお役に立てれば幸いです。是非、挑戦してみてください。
それでは、また、お会いしましょう。ABCミュージックスクール作曲DTM科講師の関口がお送り致しました。

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