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ジョン・ウィリアムズの世界 サモン・ザ・ヒーローズ
こんにちは!ABCミュージックスクール作曲DTM科講師の関口です。
前回は、ジョン・ウィリアムズが手がけているオリンピックの曲から、「コールオブザチャンピオンズ」について記事にさせて頂きました。続いて、近代オリンピック100周年記念の曲「サモン・ザ・ヒーローズ」をご紹介致します。
楽曲の特徴
明るい曲調の中にも、金管と弦楽器のコントラストが絶妙な曲です。3管編成の中で、何とトランペットが6本!これは、また異例の編成です!そして、ひたすらトランペットが活躍する。逆に言えば、疲れる曲です!笑
ここがスゴイ(作曲の、またDTmerが参考にしたい所)
一つの楽器の可能性を追求!
この曲は、副題として、「ティモシー・モリソンのために」と、書かれています。これは、当時、ボストン交響楽団の首席トランペット奏者の事です。
協奏曲とまではいかなくても、如何にトランペットが活躍するか、これは2人の友情から生まれた曲と言っても過言ではありません。とことん、トランペットに焦点を当てた曲になっています。特にポイントとなる項目を聞いていきましょう。
[トランペットの主題]
いかがでしょうか?トランペットは吹奏楽などをされていた方ならご存知でしょうが、トランペットには主にBb管とC管があります。Bb管は言わば移調楽器です。分かりやすく言うなら「ド」の音を吹くとBbの音が出る仕組みです。やや、マニアックな話になりますが、大事な所なので、記述させて頂きます。
吹奏楽では通常Bb管を使いますが、オーケストラでは、指定が無い限り奏者に任せられます。
Bb管は重い堂々とした音がします。一方、C管は華やかな、明るい音が出ます。ジョン・ウィリアムズはC管を指定しています。実に明るい音色にメロディーがなっている事にお気づき頂けると思います。
さて、ここでメロディーに注目してみましょう。
先ほどのトランペットの主題を見て頂くと、トランペットの最高音がCになっている事が分かると思います。
実は、トランペットが美しく、演奏できる最高音がCまでなのです。Dは、クラシック曲で使用するとかなりキツイ音になってしまいます。さらに、高い音を使いたい場合はピッコロトランペットと言われる、高音用の楽器にしなければいけません。
また、あまり、ずっと高音を鳴らしていると、金管楽器の奏者は唇が疲れて音が出なくなってしまいます。打ち込みだからと言って、ずっと高音を鳴らし続けるのも、トランペットの本来の良さが無くなってしまいます。ジョン・ウィリアムズの手法が、高音の良い使い方のお手本であると思って下さい。
トランペットによるパラレルモーション
次の譜例をご覧ください。2分27秒〜
これをご覧になれば分かる様に、トランペットは密集配置(クローズドボイシング)を得意とします。よく、弦と同じ動きをさせるために、トランペットの低い方の担当を、ことさら低くされる方もいますが、これは良い事ではありません。
トランペットは、ホルンと違って、音域の広い楽器ではありません。あまり低い音を吹くと、音が霞んで聞こえなくなってしまいます。それらを解決しているのが以下です。下の3本でメロディーを上の3本で合いの手を入れています。これこそ、トランペット使いの極意です。
トランペットのフルコース
以下の譜例をご覧下さい。
まとめと考察
近年、ソフトシンセの向上により、手軽に、誰でも、最高品質の音色でオーケストラを作れる時代になりました。
あくまで自分の作りたい感性で、作る事も大事です。しかし、この様に楽器の事を少しでも、得手不得手を分かって作る曲はやはり効果的で、聞く人の耳を捉えずにはおきません。これは、トランペットだけに限らず、全ての楽器に言える事です。
勿論、管弦楽法の本を買って読む事も良い勉強になります。しかし、実用されている曲では、どう使われているのだろう?と、気になったフレーズを取り出してコピー・習得するだけでも、大いに作曲に役立ちます。
もし、皆さんが打ち込んだ曲が、生演奏されたりした日には、とてつもない感動ではありませんか?私も、生オーケストラで、自分の曲が演奏された時の感動を今でも忘れる事はありません。一人でも、多く、その様な体験ができる事が、僕の願いでもあります。
レッスンではこのようなご要望にもお応えしておりますので、気軽に会いに来て頂けたら幸いです。それでは、またお会いしましょう。
ABCミュージックスクール作曲DTM科講師の関口がお送り致しました。