DTMとクラシック〜ジョンウィリアムズ編07 [オリンピック・スピリット]

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ジョン・ウィリアムズの世界07 【オリンピック・スピリット】

こんにちは!ABCミュージックスクール作曲DTM科講師の関口です。
前回では、ジョン・ウィリアムズが手がけているオリンピックの曲から、「サモン・ザ・ヒーローズ」について記事にさせて頂きました。

続いて、1988年ソウルオリンピックの時にNBCからの依頼で書かれた「オリンピック・スピリット」について書かせて頂きます。

楽曲の特徴

ジョン・ウィリアムズのオリンピックに関する曲では、細かい面白みに溢れた転調、という訳でも無く、特化して特定の楽器にフューチャーした訳でも無い、本当にシンプルな曲です。

ですが、シンプルであるが故に、メロディーやオーケストレーションが試されるという「傷がバレやすい」中で見事に作曲された最高傑作だと思います。

ここがスゴイ(作曲の、またDTmerが参考にしたい所)

ズバリメロディーの素晴らしさです!以下はAメロになります。お聞き頂ければ、もうお分り頂ける程美しく力強いメロディーですね。譜面をご覧になるとメロディーの秘密が少しずつ、見えてきます。

Olympic spirit01

①音域

メロディーを作る時の音域として、いく人かの作曲家で、広さが違います。ジョン・ウィリアムズの場合、最低音がFで最高音が1オクターブ+4度のBbになっています。
これは、管楽器で演奏する上で、非常に重要なポイントになります。歌では、勿論、音域を気にされる事でしょう。

しかし、オーケストラでは、何でもして良いとは限りません。管楽器では、ジョン・ウィリアムズの音域を参考にされると良いと思います。

弦楽器の音域について
万能とも言える弦楽器の音程については極論3オクターブでも演奏可能ではありますが、メロディーとしてはふさわしく無いでしょう。私の師匠、坂田晃一先生は、1オクターブ+6度が限界と指導して頂いた事があります。私も全く同感です。

②フレーズの展開

先ほどの譜例をご覧ください。アウフタクトを含め、2小節で1フレーズになります。

ここでのポイントは1フレーズを似た形で2回目を演奏する事で、安定感をもたらす事が出来ます。普通のフレーズは3回目で仕掛けます!つまり、音域を一気に跳躍させたり、違うフレーズに置き換えたりします。

しかし、ジョン・ウィリアムズは4回目まで、焦らしています。そして4回目でほぼ順次進行で上がって最高音でトニックに解決させます!これも、ジョン。ウィリアムズの曲の中では異例です。

②フレーズの間

先ほどの譜例をご覧になってお分かりの方もいらっしゃるかもしれませんが、1小節の中に必ず、2分音符ほどの、音の伸ばしが入っています。これにより、対旋律が入れやすい形になります。しかし、ただ、伸ばしていては、ただのつまらないメロディーになる事でしょう。伸ばしの後に、必ず細かい動きを入れる、この絶妙なバランスが、ジョン・ウィリアムズの技です。

③ホルン5度の多用

以下の譜例をご覧ください。これが、ホルン5度です。
ホルン5度

ホルンが良く美しく鳴る響きから言われた名称で、モーツァルト、ベートーヴェンなどのいわゆるクラシック作曲家が多用してきた技です。
この手法はホルンに限らず、全ての楽器のハーモニーに活かせます。ジョン・ウィリアムズは、曲の終盤で、ずっとこのハーモニーの重ね方に忠実に則っています。美しい響きのポイントはここでもあったのです。

まとめと考察

ジョン・ウィリアムズのオリンピックに関わる音楽特集、いかがだったでしょうか?それぞれの記事に、毎回、違う角度からアプローチしました。

そして、今回の「オリンピック・スピリット」が最も、基本に忠実で、素直な曲だっただけに、どういう切り口でご紹介しようかと、大変悩まされました。(苦笑)
しかし、今回の曲で私自身、基礎の大切さを改めて痛感し、この言葉を思い出しました。

「ルールを知る者だけがルールを破る事が出来る」
ファッションデザイナー、アレクサンダー・マックイーンの言葉

大学時代、最初は、作曲すらさせてもらえず、旋律や、伴奏法の基礎課題と向き合う日々・・・何度も辞めようかと思いましたが諦めず、その時に身についた力で現在、作編曲家として、ありがたくも仕事をさせて頂いております。ファッションや音楽に限らず、全ての技術に当てはまる含蓄のある格言だと、私は、確信しています。

少々、個人的な話になってしまいましたが、この記事を通して、少しでも皆様のお役に立てれば幸いです!皆さんの日々の積み重ねがよりよい音楽となり人生となりますように。

それでは、また、お会いしましょう。
ABCミュージックスクール作曲DTM科講師の関口がお送り致しました。

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