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ジョン・ウィリアムズの世界04 オリンピックファンファーレ&テーマ
こんにちは!ABCミュージックスクール作曲DTM科講師の関口です。
いよいよ、冬季オリンピック、また、東京オリンピックに向け盛り上がって来ていますね!
そこで、今回は、以前ご紹介しました「スターウォーズ」の作曲家、ジョン・ウィリアムズのオリンピックにまつわる作品をご紹介させて頂きたいと思います。
ジョン・ウィリアムズは、夏季と冬季合わせて4つのオリンピックテーマを作曲しています。今回はその中から、1984年のロスアンゼルスオリンピックのテーマ曲「オリンピックファンファーレ&テーマ」をご紹介致します。
・楽曲の特徴~式典に相応しい華やかなファンファーレから始まる~
楽曲の構成はA-B-A’というシンプルな中に多くのテクニックが随所に散りばめられています。さらに、3管編成ながら、トランペット4本、トロンボーン4本という大編成も見所です。
ここがスゴイ!①メロディー楽器の配置の仕方 1:00~
ファンファーレの後のメロディーAに当たる所では、バイオリン〜チェロまでの弦楽器のユニゾンと4本のホルンのユニゾンによって構成されます。この楽器の組み合わせかたは、最強に倍音が豊かなサウンドです。さらに、最初に始まる最低音Gの音は、実はバイオリンの最低音で、全てが上手く合致していると言えるでしょう。
ここがスゴイ!②ファンファーレの登場で統一感とエコー効果 1:18~
最初のファンファーレがメロディーの合間に爽やかに登場し、統一させて居ます。しかもこのファンファーレ2小節間に渡って、1小節間は1-2トランペットで、2小節目3-4トランペットが1オクターブ上でミュート付きでフルート、オーボエと共に演奏します。こうする事で、スコア上でエコー効果を作る事が出来るのです!2つの音源を聴き比べてみましょう。
ファンファーレ
ファンファーレの挿入
1:43~
構成上のBに当たる所では、Aのメロディーとうって変わり非常にリズミカルなメロディーになります。メロディーを担当する低音楽器の腕の見せ所です!
Aでは4小節で1フレーズだった物が2小節で1フレーズを繰り返す形になります。そして、ここで、なんと! 高音の木管楽器が追っかけのメロディーを被せて来ます!
③鮮やかな転調
2:05~
Bに当たる所では、一瞬の転調があります。CのKeyから、ホルンのメロディーでEのKeyに移ります。しかし、スケールは明らかにEであるのにコードはEsus4を保ち続けながら、すぐにパラレルモーション(平行移動)のコードでBのコードの後、KeyがCに戻ります。
④A’への独特の緊張感
2:29~
最後に大サビが来る前は、独特の手法で一旦パワーを貯め、その後、大ジャンプをする曲が多いと思います。では、ジョン・ウィリアムズはどんな技法を使っているか、覗いてみましょう。まず、keyはCのままですが、スケールがCリディアンのモードなります。
コードはCを基調とした上に、数多くのテンションが乗ります。そして、何と言っても地獄の様な弦楽器の連符!緊張感がMAXに至った所で、ファンファーレが高らかに鳴り響き、Aのメロディーがトゥッティで再現されます。
大事なのはオーケストレーション
作曲上における細かいポイントを抑えながら、今回はご説明をいたしましたが、楽曲においてもっとも大切なのは、オーケストレーションです。
DTMerの方の作るオーケストラ曲に多いのが、細かいフェーダー調整・EQで帯域を整理された後です。それは勿論大事な事です。しかし、楽器の組み合わせ方一つで響きが豊かになり、同じ音域でも管楽器と弦楽器の使い分けなどをすれば、案外、細かフェーダーをいじらなくても上手く響くことが出来ます。
最近ではオーケストラのMIDIデータ販売もしているので、是非一度手に取ってみてください。オーケストレーションを学ぶ上で大変参考になると思います!
それでは、またお会いしましょう!ABCミュージックスクール作曲DTM科講師の関口がお送り致しました!