こんにちは!ABCミュージックスクールDTM科講師の関口です!
前回はクラシックを DTM で作るためのプラグインについて記事を書かせて頂きました。
今回のテーマはズバリ「イチオシ!おすすめのクラシック作曲家」です!
クラシックというと、「敷居が高い、、」「長くて眠そう、、」というイメージがありがちですが、下記のように過去から現代にかけ、音楽に深い影響を与えてきました。
✔︎映画音楽の作曲家は元々クラシックの作曲家が始めたもの
✔︎ビートルズを始めとする洋楽への大きな影響
✔︎邦楽(ポップス・ロック)への大きな影響
200年も昔の音楽が、未だに演奏され続ける事自体、奇跡的!とは思いませんか?今、流行の音楽が 200年後、どういう扱いになっているのか・・・それは誰も分かりませんが、
「歴史に名を馳せた音楽を知ることで、皆さんの作る曲は彩られ、もっと輝く!」
これは間違いなく断言できます!
ということで、このブログでは一つの記事で一人の作曲家について、焦点を当てて行きます!
第一回目はチャイコフスキー!フルネーム「ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー」
誰もが一度は耳にした事のある音楽を沢山作っている偉大な作曲家です。それではいきましょう!
Contents
チャイコフスキーの代表曲 定番編
「白鳥の湖」よりフィナーレ
まず、メジャーな白鳥の湖、思わず胸が締め付けられるメロディーですね。チャイコフスキーのメロディーメーカーとしての才能が存分に堪能出来ます!フィナーレは、白鳥の主題をこれでもか!というぐらいに爆発させたシーンです。そして、最後の終わらせ方のしつこさ(笑)感動の渦に巻き込まれて下さい!
花のワルツ
単独でアンコールなので、演奏される程、メジャーな曲です。ワルツといえば、当然、弦楽器が主旋律かと思いきや、序奏の後、いきなり、ホルンがメロディーを担当します。これも、当時としては斬新でした!
眠れる森の美女
ディズニー映画でも使用されているのでご存知の方もいらっしゃるのでは無いでしょうか?ここで使われてるのも、チャイコフスキーの音楽です。ワルツは特に有名で、花のワルツと一味違った魅力が沢山積まれております。
関口講師が推薦!チャイコフスキーのおすすめ曲
大序曲 1812年
タイトルの1812年とは、あのナポレオン軍にロシアが勝った年です。
曲は祝典にぴったりのゴージャスな正しく「大序曲」です。(他にも翻訳では、荘厳序曲や祝典序曲、序曲などのタイトルもあります。)
まず、驚きなのが楽器編成の大きさ、通常のオーケストラにバンダといわれる、ステージ以外の場所から演奏するトランペット、トロンボーン。さらに鐘(option でオーケストラによってはチャイムで代用)
そして一番びっくりなのが・・・大砲!!本物の大砲です!
勿論、室内で大砲打ったら大変な事になりますから、演奏会ではホールの四方にバスドラムをおいて叩くのが通例になっています。また、オーケストラによっては合唱まで入れてしまうという豪華さ!!
そして、小澤征爾氏がアメリカのタングルウッド音楽祭で実際に合唱と大砲を入れている野外コンサートの模様がこちらです。
冒頭から弦楽器と合唱による聖歌が流れます。(これはフランス軍に侵攻された民衆の怒りであり、祈りでもあります。)ここだけでも、鳥肌ものです。そして、テンポを上げて、弦楽器のかけ合いが始まります。
やがて管楽器も加わり緊張感が高まると、ロシア軍の行進が軽快に、しかしどこか緊張感を持って奏でられます。その後、フランス軍の侵攻がフランス国歌で表されます。激しい戦闘の間に、ボロジノ民謡を用いた美しい旋律が流れます。再び激しい戦闘の後、ロシアの勝利が冒頭の聖歌、ロシア軍の行進とロシア国歌で表されるという、まるで映画を見ているかの様な、ドラマチックな音楽です。
最初、この作曲の依頼を受けた時は、チャイコフスキーはあまり乗り気では無かったとの事ですが、作曲料の高さにニヤリとして作曲したとの事です(人間臭くて良い話だとは思いませんか?笑)
弦楽セレナーデ
弦楽セレナーデは4楽章から成り立っております。 1楽章はX JAPANのYOSHIKI さんのドラムソロ、また、古くは CM で流れておりましたので、どこかで耳にされた事もあるでしょう。
2楽章はドラマ「のだめカンタービレ」で度々、流れました。
どの楽章も素敵ですが、私が最も好きな楽章が動画を載せた3楽章です。
これは、もう映画音楽としてそのまま使えるのではないか!と言うほどの切ないメロディーです。さらに、裏メロや、和声の移り変わりなど、勉強材料としても素晴らしいです。
交響曲第5番
遂に大曲が来てしまいました!
この曲は、チャイコフスキーの中でも最も大衆に受け入れられた交響曲です!あまりにもセンセーショナルな楽曲の構築方法に、「大衆に迎合し過ぎだ」と批評家から厳しい批判の対象になりました。
この曲は、冒頭のクラリネットから始まる「運命の動機」が、一貫して全楽章を支配しています。
1楽章
拍子が8分の6でありながら、ヘミオラと言われる1つの拍子の中に、別の拍子を入れるという技を使い、緊張感が溢れる楽章になっています。何と言ってもオーケストレーションの素晴らしく分かりやすい事!
2楽章
前回のブログで、私がホルンを吹いていた旨、記述しましたが、世界中のホルン奏者が1度は吹いてみたいのが、この2楽章です。1楽章が長くて退屈な人は、飛ばしてこの2楽章を是非、お聴き下さい!笑
弦楽器による地の底から這い上がる様なハーモニーの後、ホルンが甘く切ないメロディーを奏でます。ここは、チャイコフスキー史上最も甘美なメロディーだと思います。木管に引き継がれながら、弦も加わり夢の様な世界が繰り広げられます。しかし、それは、「運命の動機」に打ち破られます。
3楽章
言わば4楽章への序章ではないか、と思うほど、楽しげで、やがて来る大勝利の4楽章を予期させます。チャイコフスキーお得意のワルツです。ここでの木管の使い方の秀逸な事!
4楽章
運命の動機」が長調に転調されて、力強く弦楽器によって奏でられます。途中から、短調も交えた激しい描写がありますが、それすら、難を乗り越え楽しんでいるかの様です。
そして、金管の強奏による「運命の動機」の長調に転調されたメロディー。
全てを乗り越えた大勝利の逆転劇は最高潮に達し、熱狂の渦のなか幕を閉じます。コーダと言われる終結部は1楽章のメロディーがまた長調に転調され、顔を覗かせる所が、憎い技です!笑
一回でも良いので映画を耳で聴く感覚でこの音楽を楽しんで頂ければ幸いです。
チャイコフスキーの音楽的な素晴らしさ
1番に上げるのは「メロディーメーカー!!」という事です。
ここではご紹介出来ませんでしたが、交響曲第4番の4楽章などは、歌詞が付いて、小学校の教科書にも載っております。
2番目に、「オーケストレーションの分かりやすさ!!」この後の特徴で詳細を述べますが、実に分かりやすいスコアは映画音楽にも影響を与えています。
チャイコフスキーはロックミュージシャンか?
X JAPAN のリーダーYOSHIKI さんは「彼こそその当時においてのロックスター!」と評し、ファンの方ならご存知かと思いますが、 YOSHIKI さんのドラムソロの時に流れる冒頭のバックミュージックはチャイコフスキーの「弦楽セレナーデ」であったり、ご自身でピアノソロの時には「白鳥の湖」を演奏するほどお気に入りの作曲家です。
ドラムソロ
ピアノソロ
一方、 YMOで一世を風靡し、現在、映像音楽でも活躍されている坂本龍一さんは「チャイコフスキーの様な音楽ならすぐに書ける」というほど、評価が真っ二つです。 YOSHKI さんと坂本龍一さんで音楽への拘りの違いがあるとは言え、何故このようになっているのでしょうか?
世間の評価への考察〜チャイコフスキーにある二つの側面〜
どうも、チャイコフスキーの評価は当時から同じ様に、真っ二つに割れていた様です。
それはチャイコフスキーのアイデンティティーに関わります。
チャイコフスキーはロシアの作曲家です。ロシアを愛し、ロシアの民謡や、ロシア的な音楽を根底としながらも、ヨーロッパにも憧れを持っていたチャイコフスキーは、実に流麗な音楽を作り出しています。さらに、ロシアの作曲家は兼業をしながら、作曲していたのに対して、チャイコフスキーは、フォン・メック婦人というパトロンのお陰で専業作曲家になれました。
有名なロシア5人組(バラキレフ、キュイ、ムソルグスキー、ポロディン、リムスキー=コルサコフ)と交遊がありながらも、ロシア6人組には成れなかった理由もここにあります。
もう1つの要因として、チャイコフスキーのスコアに答えを求める事が出来ます。
ベートヴェン登場以降、作曲は、哲学的、あるいは思想を表す1つの言語でした。
故に、奥深さや、ある程度の難解さが無ければ、芸術家とは見なされませんでした。
しかし、チャイコフスキーのスコアを1度、ご覧になると分かりますが、実にシンプル!木管や弦楽器はユニゾンの嵐!良い所で金管の強奏が美味しい所を持って行く!実に世俗的な音楽と見なされたのです。
チャイコフスキーの尊厳を守るために言うならば、交響曲第6番など多くの芸術性を持ち合わせているのです。
関口講師のクラシック曲紹介
最後に僕の作品をアップさせて頂きます。
これは「賢者の贈りもの」という、アメリカのヘンリーの短編小説を題材に作曲させて頂きました。編成はピアノソロと弦楽オーケストラになっております。生演奏をして頂く機会に恵まれました。録音環境が悪い事、ご容赦下さい。
打ち込みした物もアップさせて頂きますのでdtmの再現性、可能性も伝われば嬉しく思います!
生演奏Ver
打ち込みVer
まとめ
いかがでしたでしょうか?
バンドで売れたい!という方がいらっしゃる様に、当時のクラシック作曲家達も、大きな夢を抱いて曲作りに励んでいた私たちと同じ音楽が大好きな人だったのです!!
そう思うと音楽はとても壮大で、深い世界だとも感じずにはいられません。
今回の記事でクラシックの世界に興味を持って頂けたら心より嬉しく思います。
また次回をお楽しみに!
ABCミュージックスクールDTM科講師の関口がお送りしました!