トレモロアームの使い方 ~後編~
今年もコロナウィルスで散々な一年ですが、ステイホーム時間を使って是非新しい音楽や新奏法等の習得、ギターのレベルアップに繋げていきたいですね!
ギタリストにとって家に籠れる時間は至福の時間、こんな好機は中々訪れませんよ!
前編の記事では“揺らす”アーミング、“音程を狙った”アーミング、そして激しくアームダウンする“Dive Bomb”アーミングをご紹介しました。(前編はコチラから)
今回の後編ではさらなるアーミングとハーモニクスを混ぜた特殊奏法や疑似音等、ちょっとしたぶっ飛びアイデアをご紹介したいと思います!
それでは早速いってみましょう!
バイクのエンジン音
まずご紹介するのがアームを使った「バイクのエンジン音」。
ディストーションをかけたギターサウンドで、思いっきりアームダウンした状態で6弦開放を鳴らします。
適度にアームダウンした手の力を抜きながら「ヴンヴン」と言った音を出せればOKです。その後もっと緩やかにアームダウンの力を抜いていき、瞬間的に強くアームダウンすればバイクのギアチェンジの音も再現できます。
こんな使い方で疾走感のある曲のイントロ、再現できたら最高ですね!
象の鳴き声
次のアイデアは「象の鳴き声」です。
これはDragon ForceのHerman Liが紹介していたのですが、4弦5フレットと3弦7フレットのナチュラルハーモニクスとアーミング、そしてボリュームを使った複合技です。
まずはギター本体のボリュームもしくはボリュームペダルをゼロにし、2つのハーモニクスを鳴らした後一気にボリュームを全開にしながらアームアップするといった手順です。
筆者も練習してみましたがボリュームペダルでやった方が断然楽に感じます(笑)。
また、3弦5フレットと2弦7フレットでも有効でした。音程が高くなるので何か別の生物の鳴き声と捉えられなくもないです…(笑)。あとは4弦と3弦の組み合わせはユニゾン(同音程)に対し、3弦と2弦の組み合わせは半音違いになるといった点でしょうか。
ライブや曲中どのタイミングで使うか不明ですが(笑)、とにかく「ギターってこんなこともできるんだぜ!」と一発芸的に使うのが最も有効かもしれません。
馬の鳴き声
最後にご紹介するのが「馬の鳴き声」奏法。
この奏法の出典は言わずと知れたあの名難曲、Steve VaiのBad Horsieです。
Steve Vaiのやり方を動画から解析する限り、全弦1音下げチューニングのギターで3弦7フレットをピッキング・ハーモニクスで鳴らした直後にアームアップをし、アームを小刻みに揺らしながらアームを戻していくような動作のようです。
ポイントになるのがピッキング・ハーモニクスを出す際のピッキングする位置で音程をコントロールすることです。ピッキング・ハーモニクスはブリッジ寄りでピッキングした方が音程が高くなりますからね!
しかしこんな奏法を曲中に織り交ぜちゃうなんて、やはりギターの魔術師Steve Vai!曲中の他のアーミングも、どれも芸術的なので是非ご一聴を!
まとめ
どれもアバンギャルドで芸術的に使いこなすには経験とセンスが問われるような奏法です。そしてギターを弾かない人は誰しも「ギターでこんな音が出るのか!?」と思うでしょう。
こういった奏法が思いついたときにパッと瞬間的に弾けるよう、練習しておくのも“魅せるギタリスト”になる秘訣かも!?
筆者は今年の夏、仕事で湘南の道を歩きながらふと、「ミンミンゼミの鳴き声ってジージーいうディストーションとチョーキング織り交ぜればギターで再現できるのかな?ミーンの鳴き止む部分はアーム使った方がリアルかな?やっぱエフェクターはメタルゾーンかな?」等と思いついた日がありました(笑)。必殺セミ奏法!
さて、セミ奏法はさておき以上の内容をまとめると…
1. バイクのエンジン音
思いっきりアームダウンして豪快に!派手に!そしてギアチェンジ!
疾走感のある曲のライブ版のイントロとして使ったりするのもありかも!? キーボードやベースも入れて音圧を稼ぐのを忘れずに!
2. 象の鳴き声
始めにボリュームを0にするのを忘れずに!思いっきりアームアップしてパオーン!
3. 馬の鳴き声
ピッキング・ハーモニクスを鳴らすときはできるだけブリッジ寄りで!目指せ、ジャパニーズ・スティーヴ・ヴァイ!
ABCミュージックスクールギター科講師の星野尚紀がお送りしました。
また次回お会いしましょう!