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音階が与える曲の印象を紐解こう!
皆さん、いかがお過ごしでしょうか?ABCミュージックスクール・DTM講師の福島です!
CMや映画など映像の後ろで何気なく流れている音楽があります。例えば『お正月初売りセールのCM』では和風な感じの曲が流れますし、『闘牛士が戦うシーン』だと情熱的な感じの曲が流れます。
この《○○な感じ》に聞こえるのは何故なのか考えたことはありますか?その理由一つに音階(おんかい)というものがあります。身近なところでは、皆さんよくご存知のド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ドも音階の一つです。
ドから始まってオクターブ上のドまで音が段々と上がっていきます。まさに音の階段です。これは長音階(ちょうおんかい)といいます。明るい感じがしますね。
それでは音階と《○○な感じ》の関係について、できるだけ分かりやすく説明していきたいと思います。
一年は12ヶ月、半日は12時間、森永ダースは12個入り、さて音楽は?
音階の話をする前に知っておきたい大事なことがあります。それは1オクターブを12個に均等に分ける、十二平均律(じゅうにへいきんりつ)というものです。
鍵盤を見てみると、ドからオクターブ上のドまで、白い鍵盤と黒い鍵盤が並んでいます。順番に見ていきましょう。
「ド」→「ド♯」
「ド♯」→「レ」
「レ」→「レ♯」
「レ♯」→「ミ」
「ミ」→「ファ」
「ファ 」→「ファ♯」
「ファ♯」→「ソ」
「ソ」→「ソ♯」
「ソ♯」→「ラ」
「ラ」→「ラ♯」
「ラ♯」→「シ」
「シ」→「ド」
音にしたものがコチラ
「ド」→「ド♯」の音の距離を半音(はんおん)といいます。
半音が2つ分の音の距離を全音(ぜんおん)といいます。
「ド」→「ド♯」で半音1つと数えて、「ド♯」→「レ」で半音2つ、「レ」→「レ♯」で半音3つ…、
そのままオクターブ上のドまで数えてみると、12個まで数えることができます。つまり、十二平均律によって1オクターブは半音12個でできていることが分かります。
音と音の距離が音階のイメージを決定付ける!
先ほどの明るい感じがする長音階ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド。
「ド・レ・ミ」
「ド・レ・ミ」だけでも明るい感じですね。
それぞれの音の距離は「ド」→「レ」は全音、「レ」→「ミ」も全音となります。
それでは試しに「ミ」を半音下げて「ミ♭」にしてみます。
「ド・レ・ミ♭」
あれ?いきなり暗い感じになりました。
それぞれの音の距離は「ド」→「レ」は全音、「レ」→「ミ♭」は 半音となります。
両者とも最初は全音ですが、次に全音と半音の違いが現れます。
実はこの違いが、明るい感じ・暗い感じに聞こえる理由なんです。
それでは音の距離を全音よりもさらに長くしてみたら、どう聞こえるでしょう?
「ド・ファ・ソ」
「ド」→「ファ」でいきなり半音5つです。神秘的で不思議な感じになりますね。つまり、音階の聞こえ方や雰囲気は次の音へ進む距離で変わってきます!
古今東西、興味深い《○○な感じ》の音階
世界各地には、その土地の民族色を色濃く反映した音階がたくさんあります。その一部をご紹介していきます。
◎陰音階
ド・レ♭・ファ・ソ・シ♭・ド
冒頭でお話しした『お正月初売りセールのCM』で使われそうな日本の音階。雅で美しい日本の情景が思い浮かびます。
◎スパニッシュ・スケール
ド・レ♭・ミ♭・ミ・ファ・ソ・ラ♭・シ♭・ド
こちらも冒頭でお話しした『闘牛士が戦うシーン』にぴったりのスペインの音階です。フラメンコにも使われます。テンポを速くするとさらに雰囲気が出ます。「オーレッ!」と叫びたくなりますね!
◎全音音階(ホールトーン・スケール)
ド・レ・ミ・ファ♯・ソ♯・ラ♯・ド
なにやら怪しくてミステリアスです。魔法をかける時の効果音のようです。フランスの作曲家:ドビュッシーが考えた、全ての音の距離が全音で構成されている音階。
◎琉球音階
ド・ミ・ファ・ソ・シ・ド
沖縄といえばこれ!という強烈なインパクトのある音階。長音階とはまた違った明るさで、陽気であり平和的です。「なんくるないさ〜」な感じがします。
◎ペロッグ・スケール
ド・レ♭・ミ♭・ソ・ラ♭・ド
インドネシアの音階です。どことなく琉球音階に近い感じがするのは、両者とも暖い気候の地域というのが理由かもしれませんね。
◎ドリア旋法
ド・レ・ミ♭、ファ・ソ・ラ・シ♭・ド
どこか落ち着かない浮遊感のある「たゆたう感じ」がします。
この音階は中世ヨーロッパ、教会の聖歌で使われていました(実は長音階も同様です)。
◎ブルーノート・スケール
ド・ レ♯・ファ・ファ♯・ソ・ラ♯・ド
クールなブラックミュージックの雰囲気がする、アメリカ南部を起源とする音階。トランペットで格好良く吹いてみたいですね!
音階からメロディを作るには上がって下がる!
既にお気づきの方もいらっしゃると思いますが、音階は《○○な感じ》のメロディを作るのに活用できます。
一番簡単な方法は、とりあえずどの音階も最初の音からオクターブ上の音まで上がったら、そこから同じ音階を下がって最初の音に戻ることです。例として日本の陰音階で試してみます。
《和風な感じ》にグッと近づきませんか!?出発点の音に戻ってくることで、音階が一段落した安心感・安定感が生まれます。
さらに、音階の真ん中あたりを行ったり来たりしてみると…?同じく陰音階で試してみます。
《和風な感じ》がさらに際立ちますね!(陰音階は上がる時と下がる時で音階の構成音が少し変わりますが、ここでは省略します。)
まとめ
いかがでしたか?
《○○な感じ》の曲には、音階と音階を使ったメロディが深く関わっているのがお分かり頂けたと思います。
メロディを作る一つのアイデアとして、古今東西の音階を参考にしてみてはいかがでしょうか?自分流の音階を作ってみるのも楽しそうですね!
それではまた!ABCミュージックスクール・DTM講師の福島でした!