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dtm初心者のためのコンプレッサー講座②
こんにちは。ABCミュージックスクール、DTM科講師のT3Kです。
前回、前々回ミックステクニック講座としてコンプレッサーの使い方や、音の違いなどを検証してきました。
えっ?!見てない!という方はこちらの記事をご参照下さい。
コンプレッサーを駆使してミックステクニックを上げよう!
dtm初心者のためのコンプレッサー講座①|音源サンプルで比較しよう!
今回はコンプレッサーを使って、「波形でどのような変化が起こるのか」を音源データと共に検証したいと思います。
Q.波形とは?
A.このようなギザギザものを波形と呼びます。
dtmにおいては、音声を記録したオーディオデータの事をさします。
オーディオデータ例:
✔︎録音したギターの音
✔︎マイクで録音したボーカルの声
✔︎録音したドラムの音など
コンプレッサーの真髄は削る事にあり
前回の解説ではコンプレッサーの効果をわかりやすくお伝えするため「迫力を出す」ことに焦点をおいて解説しました。
しかし、実はコンプレッサーの本来の使い方は、迫力を出したり音圧を出したりする使い方ではなく、出過ぎた音を削って均一にする事。 これこそがコンプレッサーの真髄なのです。
狙いすましコンプレッサーをかけよう
近年では音圧戦争と言われる時代で、音圧をいかに上げられるかに焦点を置いた言わば「勝負」の様な流れになっています。
だからといって闇雲にコンプレッサーを深くかけて音圧を上げにいってしまうと、楽曲全体がパスパスした音像になってしまい、せっかくの楽曲も台無しになってしまいます。
基礎的な使い方を覚え、狙いすましながら楽曲を仕上げることが最も大切です。いつでも適切な値でかけられる様に、今回の記事でコンプレッサーの真髄を学んでいきましょう。
出過ぎた音を均一にするコンプレッサーテクニック
早速このドラムデータを聞いてみてください。
何か違和感を感じませんか?
そう!スネアドラムの音量が極端に大きいのです……
波形で見ても音量差があるのは一目瞭然ですね!
プロの現場でも滅多にない事ですが、仮にこの素材のまま楽曲を完成させなければならないシチュエーションに遭遇した場合、このオーディオデータだけでなんとかしなくてはいけません。これ以上ドラムの音量をコントロールする事が出来ない環境。
…どうするか?
そう!コンプレッサーの出番です。
では一体どの様にコンプレッサーをかけて調整していくのでしょうか。
まずは調整後の音を聞いてみましょう。
如何でしょうか?
ほんの少しスネアドラムが小さくなり、周りの音がバランス良く聞こえる様になっているのがわかると思います。実際のスネアの音量は全く同じなのに、まとまって聞こえますね。これがコンプレッサーの効果です。
コンプレッサー設定解説
スネアドラムだけに標準を合わせ、少し強くコンプレッションがかかる様に設定しています。
各パラメーターの値
RATIO 6:0:1
ATTACK 1.0ms
RELEASE 30.0ms
THRSH-15db
KNEE 3.0db
GAIN 4.0db
リダクション
GRメーターで、-4~6dbくらいリダクションさせる様にしています。
ゲインで微調整
他の音はあまりかからない様に設定し、最後GAINで少し持ち上げます。
コンプをかけた後の波形も見てみましょう。
波形でも音量差のスネアドラムが収まって、全体的に均一になっているのが確認できますね!
これが削ったり音量を整える本来のコンプレッサーの使い方です。
今回のポイント!
まずは波形や実音を確認して、一番大きい音の箇所を見極めましょう。
大きな音にスレッショルドの標準を合わせます。
一番大きな音で、GRメーターが約-3db~-5dbにとどまる範囲で設定します。
当然少しでも削りたいので、RATIOは高めに、アタックタイムは早めに設定しましょう。
リリースはお好みで。
この時、KNEEをかけると少しマイルドな印象になります。
このように実際に波形を見て調整。そして聞いて判断する事が一番重要です。
コンプを使い倒して、楽曲と共に耳を育てていきましょう!
まとめ
このように出すぎた音の1つ1つを整える事によって、楽曲全体の音量を少し上げられる事になります。
そうすると結果的にもっと音圧を稼ぐ事が可能になります。
もちろんこの後に「迫力を出す為のコンプ」をかける事もあります。
「迫力を出すコンプ」の後に、「削るコンプ」をかけてもあまり意味がないですよね。
ただし迫力を出したいからと言って過度なコンプレッションは禁物です。
コンプレッサーも適度に使い、用途によって使い分け出来るようになりましょう!
最後まで読んで頂きありがとうございます。
次回は、ミックステクニック コンプレッサー番外編!について解説しきます。
それではまたお会いしましょう。
ABCミュージックスクールDTM科講師 T3K