強弱記号ってなに?② 特徴を覚えてピアノの練習に備えよう!9

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強弱記号ってなに?その2 特徴を覚えてピアノの練習に備えよう!第9弾

梶田講師
こんにちは!ABCミュージックスクールピアノ教室科講師の梶田です。
今回は前回に続き強弱記号についてお話ししたいと思います。基本的な強弱記号は前回お話ししましたが、今回もよく出てくる強弱記号について解説していきます。
(前回がどんなお話しだったか思い出したい方はコチラから!)

今回は「だんだん~」がテーマです。どの様に弾くと効果的かも含めてお話ししますので、強弱記号の理解をさらに深めてみましょう!

< と >


楽譜上、良く出てくる記号です。
(>の記号で小さく音符に付くものは「アクセント」いうアーティキュレーション記号になりますので、こちらはまたの機会に解説させていただきます!)


クレッシェンド


デクレッシェンド

と呼びます。

どちらもアルファベットで書かれることもあり、松葉マークと呼ばれることもあります。(松の葉の形に似ているからそう呼ばれるそうですが、松葉が分からない方はコチラから)
意味としてはどちらも「だんだん~」で、強弱の変化を表します。それでは詳しく見ていきたいと思います!

 

だんだん強く


全て「クレッシェンド (crescendo)」と呼びます。アルファベットで書かれる場合、省略して「cresc.」としていることが多いと思います。
意味としては「だんだん強く(大きく)」です。

「crescendo」の元になっている「créscere」の意味は「成長する、大きくなる、増大する」です。「体重が増えた」場合もこの「créscere」を使うようです。
こちらの「créscere」に、現在進行形を作るのに用いられることもある「-endo」がついていますので、「だんだん強く(大きく)」になります。

演奏する時にはやはり、「だんだん」「次第に」がポイントです!

ちなみに「記号」と「アルファベット表記」の違いについてですが、一般的には「記号」の場合は短いクレッシェンドに、「アルファベット表記」の場合は長いクレッシェンドに用いるとされています。

そして短くても長くても「クレッシェンド」を実際に演奏する場合には、はじめから強めではじめてしまうてしまうと「だんだん」「次第に」が難しくなりますので、ある程度小さな音量からはじめると上手くいくと思います。

ただ、曲の前後の関係も考えて音量を決めるようにしてくださいね。クレッシェンドのはじめる箇所を極端に小さくしてしまうと、聞いていて少々不自然に感じることもあります。
自分の耳でよく聞いて考えてみることも重要ですよ!

 

だんだん弱く


こちらも全て「デクレッシェンド (decrescendo)」と呼びます。アルファベットで書かれる場合、省略して「decresc.」としていることが多いと思います。
意味としては「だんだん弱く(小さく)」です。

既に説明しました「créscere」は「成長する、大きくなる、増大する」という意味でしたね。こちらに「de」がつくと「低下、否定」の意味になりますので、「créscere」を「低下・否定」してみますと、「縮小する、小さくなる、減少する」といった感じになるかと思います。

ちなみにこちらも「-endo」がつきますので急に小さくなるのではなく、「だんだん」「次第に」がポイントです。

「デクレッシェンド」を実際に演奏する時は「クレッシェンド」とは逆に、ある程度大きめの音量からはじめると上手くいくと思いますよ!

 
そして実は「だんだん弱く」の意味を持つ楽語がもう一つあり、こちらの方が目にする機会が多いかもしれません。


「ディミヌエンド (diminuendo)」と読みます。こちらも省略形の「dim.」で書かれていることの方が多いように思います。
またこちらの元になっている「diminuire」の意味も「(価値などを) 減らす、減少させる、小さくする」といった意味です。こちらも最後に「-endo」がつきますので、「だんだん」「次第に」がポイントです。

 
この「だんだん弱く(小さく)」を表す「decrescendo」と「diminuendo」。少し意味のニュアンスは違いますが、2つにあまり違いがないのように思うのになぜ2つあるのか…、どちらでもいいのでは…、と私も思っています(笑

色々調べると、この2つで少し意味合いを変えて使い分けていた作曲家もいるようですし、時代によって「diminuendo」が主流になっていったとも言われています…。

また「diminuendo」の方は「minuire」だけでも「減少する、減る」といった意味があり、それに強意を表すことになる「di」が冒頭につきますので、どちらかというと「diminuendo」の方が「decrescendo」より強い意味合いになるのではと思います。

ただ、色々難しいことをお話ししましたが、どちらも「だんだん弱く(小さく)」することに変わりはありません!
何はともあれ、「decrescendo」も「diminuendo」も「だんだん弱く(小さく)」する!と覚えておきましょう

 

おまけの「少し」

「だんだん~」の記号によくセットで記載される楽語がありますので、こちらも今回是非覚えていただきたいと思います。
こちらの2つです。

「poco (ポーコ)」は「少しの、少量の」という意味ですので、
上の「poco」は「少し」
下の「poco a poco」は「少しずつ」
となります。

「クレッシェンド」や「デクレッシェンド」につく場合は、何小節にも渡って奏する場合に書かれていることが多いかと思います。こちらも覚えておくといいと思いますよ!

 

楽譜で見てみよう!

では実際に楽譜上でどのように書かれているかみてみましょう!

 
【空も飛べるはず (スピッツ) ≪初心者版≫】
こちらでは「クレッシェンド」を見てみたいと思います。

2段目のはじめの小節から4小節に渡って「クレッシェンド (だんだん強く)」が書かれています。
音源を2つ用意していますので、比べてみてください。

音源①:前半から「クレッシェンド」

音源②:後半を「クレッシェンド」

この曲の場合、サビの3段目が一番大きくなるようにするとサビが盛り上がっていいと思いますので、後半をしっかり「クレッシェンド」する音源②の方がといいと思います。

確かに2段目のはじめの小節から「クレッシェンド」が書かれていますが、サビに向かって気持ちも高まりますので、自然と「だんだん強く」していく箇所ではあると思います。音源①の「クレッシェンド」も悪くはないと思いますが、少し盛り上がるのが早く、サビが盛り上がりに欠けるかな、とも思います。

音源①と比較しますと、音源②の方がサビが一番盛り上がるように「クレッシェンド」されているかと思います。

ですので、「クレッシェンド」が書かれている箇所から気分は盛り上がりはじめますが「だんだん強く」するのはそこでは我慢して、意志を持って「クレッシェンド」するのは後半にすると効果的に聞こえると思います。

 
【ベートーヴェン:月光ソナタ Op.27-2 第1楽章】
次に「デクレッシェンド」を見てみたいと思います。「クレッシェンド」もありますが、月光ソナタ 第1楽章の最後の部分です。
(余談ですが、ベートーヴェン先生はもともとは「デクレッシェンド」がほとんどだったようですが、途中から「ディミヌエンド」を多用するようになったそうです)

音源①:前半から「クレッシェンド&デクレッシェンド」

音源②:後半を「クレッシェンド&デクレッシェンド」

やはり音源①ですと、「クレッシェンド」も「クレッシェンド」もかけるのが早すぎて、効果が薄くなっているのが分かりますでしょうか?

音源②は後半で「クレッシェンド」も「クレッシェンド」もかけるようにしています。そのようにすると、1段目は「弱強弱」と山のようにキレイな強弱がつく思います。また2段目の「decresc.」は水色の枠で囲ったまとまり毎に弱くしていくといいかもしれません。

やはり「デクレッシェンド」も後半で「だんだん弱く」していく方がいいと思います。「decresc.」の書かれている箇所から弱くしてしまいますと最後のpp (ピアニッシモ) が出せなくなりますので、ご注意くださいね!

 
「だんだん強く」する場合も「だんだん弱く」する場合も、弾くときに効果的なのは「後半」で「だんだん~」することです!

記号が書いてあると「その場所からしなくてはいけない!」と思いがちですが、大体その記号が書かれている箇所は必然的にそのように弾くようになっていることの方が多く、自然に盛り上がったり静かになったりしています。意識的にするのは後半です!!

音源でもお分かりになったと思いますが、後半で「だんだん~」した方が効果的でしたよね?是非ご自分でも試してみてくださいね!!

 

まとめ

梶田講師
今回は「だんだん強く/ 弱く」を表す強弱記号を説明しましたが、理解は深まりましたでしょうか?是非お手持ちの楽譜を見てみてくださいね。

「だんだん~」する強弱記号は「後半」にかけるととっても効果的です!今まで意識して演奏していなかった場合は、是非試してみてくださいね。グッと音楽性が増すこと間違いなしです!!

記号の意味をきちんと理解して楽譜を読むとまた新たな発見があるかもしれませんよ!
それではまた次回お会いしましょう!!

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