ピアノの楽譜を読もう!10 ~コード – テンション 11th・13th編

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ピアノの楽譜を読もう!第9弾 ~コード – テンション・9th編

小倉講師
楽譜の読み方について解説します!こんにちは!ABCミュージックスクールピアノ科講師の小倉里恵です。

さて、以前から数回に分けてお話ししてきたコードの話、前回からついにテンションコードのお話へ!本日はその中でも11th、13thについて、お話ししていきます。
楽しく習得して、コードと仲良くなりましょう!!…と言ってもテンションコードはほんと難関っ!私もこの記事を書くことで再度確認、勉強になってます…(^◇^;)

一回でわからなくて大丈夫!そんな響きもあるのねー!という新しい和音との出会いの場にしてくださいな!

 

テンションコードのおさらい

テンションとは、コード表記の中に9.11.13を含むもので構成音の高音部に特定の音がくっついているコードのことでしたね。
テンション、というのは「緊張」を意味していて、三和音や四和音に比べて、構成音が増えて複雑な響きになることで、緊張感を持つコードに。これを総称して、「テンションコード」と呼んでいます。

 

11th

それでは、本日のメインである11th(イレブンス)についてお話しますね。前回ご説明したこの図の通り、ルートから数えて9度は2度と同じ音、11度は4度と同じ音、13度は6度と同じ音になります。

・9度⇨9th(ナインス)
・11度⇨11th(イレブンス)
・13度⇨13th(サーティーンス)

9thには3種類あって、9th、♯9th、♭9thが存在する、と前回説明しました。ですが、11thの音、ルートがCの場合にファの音を♭してみると…

この図のように異名同音ですが、基本和音を作るのに最も重要な3音、すなわちミと全く同じ音になりますね。ですので、11thの場合は11th♯11thの2種類のみということになります。

ここでめっっちゃくちゃ大切なことを1つ!!【11thというコードは、1.3.5.7.9.11番目の全ての音を含む和音】ということを絶対に忘れないでください!


このように、1.3.5.7.9に関しては明記しない限り、基本必ず全ての音が入っています。(あくまで理論上の話であって、演奏時に全部の音を弾いてください!ということではないですよ(^^))

そうでないと、図のようにsus4と同じ響きになり、テンションコードの緊張感が生まれなくなりますね。9thにも♯や♭を付けたい時には、このように明記します。

一見ごちゃっとしているようですが、使いたい音をしっかり記号で説明してくれていて、なかなかの親切設計なんですよ!コードって(^^)

 

add11

逆に、テンションみたいに色々音を鳴らしたいのではなく、シンプルに基本の和音に11thだけどうしても足したい!そんな時のために、add9th同様add11thも存在します。

少し浮遊感のある響きが特徴ですよ!色々なコードのadd11を鳴らしてみてくださいね!

 

add11のボイシング

このadd11には注意点があります。add9の時にはこのように、1音と3音の間に9音を入れても、全音ー全音という開きがあるので濁った響きにはなりません。

ところがadd11を3音と5音の間に入れると半音ー全音という関係性になりますね。これが時として響きの濁りを感じさせることがあります。そんな時には、こんな風にその濁りを回避すると浮遊感を保ちつつ、スッキリとした響きになりますよ!

 

メジャーコードにおける11thの注意点

11thは本来、メジャーコードにもマイナーコードにも用いることができます。ですが、add11でもご説明した通り3音と11音は半音でぶつかる関係性にあります。あえて半音をぶつけることも無いことはないのですが、これを濁り、響きが汚いと感じることも。

これを回避するため、
メジャーコードで11thを使用するときには半音上げて♯11thを、
マイナーコードで使用する時には11thを、
という慣例があります!

なんとなくでも知っておくと良いかもしれません(^^)

※使用不可、と明記してる場合もあります。

 

13th

さてもう一つのテンションコード、13thについてもお話しします。
この13thは6音と同じ音だと先程お話しました。6音であれば6thというコードもありますよね。では6thと13th、この2つの大きな違い、テンションかそうで無いかの違いは11thでお話したように、【音を全て含むかどうか】でしたね。

13thの場合は1.3.5.7.9.11.13番目の全ての音を含む和音(理論上)ということを絶対に忘れないでください!

ちなみに13に♯をつけると7thと同じ音になるので、♭11th同様こちらも存在しません。

13thには♭のみ付けることができます。♭13はこのように明記します。また、add13は6thと全く同じ響きになるので、こちらも存在しません。

 

テンションコードの♯と♭

最初は、もうほんっとにごちゃごちゃ感じると思うので、簡単な一覧に!

なんだかぶつかって綺麗な音が響かないぞ…??と思ったり、何が何だかわからなくなったら、ぜひぜひこの表を見に戻ってきてくださいね!

 

まとめ

小倉講師
今回のブログをまとめると、

1. テンションコードは、新しい響きとの出会い!まずは理解することより、ステキな響きを楽しんで!
 
2. 11th、13thはそれぞれ、1.3.5.7.11.13音を含むコードです
 
3. 7th以降を伴わない11thは、add11というコードになります
 
4. 3音と半音でぶつかってしまう11thは、慣例としてメジャーコードでは♯11に
 
5. 3音と同じ音になる♭11th、 7音と同じ音になる♯13thはコードとしては扱わない

数回にわたってコードの複雑なお話をしたので、次回からは一旦楽譜の基本的な読み方にお話を戻します!基本的な読み方をきちんとマスターした後、これらのコードを使ってのアドリブやボイシングの話に移っていけたら良いですよね!

それでは次回のブログでお会いしましょう!ABCミュージックスクールピアノ科講師の小倉里恵がお送りしました。