ペダルってなに?② 特徴を覚えてピアノの練習に備えよう!13

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ペダルってなに?その2 特徴を覚えてピアノの練習に備えよう!第13弾

梶田講師
こんにちは!ABCミュージックスクールピアノ教室科講師の梶田です。
今回は前回に続き、「ペダル」についてお話ししていきます!

前回は右側のダンパーペダルについてお話しさせていただきましたが、今回は左側のペダルと真ん中のペダルについてお話ししていきたいと思います。
(前回のお話しはコチラから)

もしかするとあまり使ったことのないペダルかもしれませんが、特に左のペダルは効果を知っておくと便利かもしれませんよ!
「ペダル」を知って、ピアノや楽譜の理解をさらに深めてみましょう!

 

左側のペダル:ソフトペダル

一番左側のペダルは「ソフトペダル、シフトペダル、弱音ペダル」と呼ばれています。私は弱音ペダルと呼ぶことが多いですが、ここでは「ソフトペダル」で統一したいと思います。

2本しかないペダルの場合も、左側にあるペダルがこの「ソフトペダル」です。ただ電子ピアノで1本しかペダルが無い場合は、使用頻度の高い「ダンパーペダル」のみとなります。今回お話しする「ソフトペダル」の機能は付いていないものが多いかもしれません。

皆さんはこの「ソフトペダル」にどんな効果があるのか知っていますか?曲を弾くときに使ったことがなくとも試しに踏んでみたりしたことはないでしょうか?
是非踏んで確認してもらいたいのですが、ペダルを踏んでいない時の音よりも「やわらかい音、こもったような音」になりませんか?

ではどうしてその様な音色なるのか、お話ししいきたいと思います。
実はこのソフトペダル、構造が少々違うグランドピアノとアップライトピアノでは機能が異なりますので、それぞれお話ししていきますね!

 
【グランドピアノの場合】
是非グランドピアノをお持ちの方は一度踏んでみていただきたいのですが、左のペダルを踏むと何か動きませんでしたか?
そうです。鍵盤が少し右側に動きましたよね?!


グランドピアノの場合、上のアニメーションのように、弦の下の白いハンマーが鍵盤と共に少し右側に移動するのです。そうすることで、打つ弦の数を減らしています

1つの鍵盤につき、中高音域は3本、低音は2本の弦が張ってあり、通常鍵盤を押すと3本または2本全ての弦をハンマーが打つことになります。それがソフトペダルを踏むことで、1本又は2本の弦のみ打つようにすることになるのです。

打つ弦の数が減るということは、必然的に音が小さく、やわらかく聞こえるようになります。

 
【アップライトピアノの場合】
グランドピアノが横に弦が張ってあるのに対し、アップライトは縦に弦がはってあることもあり、全く同じ機能にできないものもあります。それがこのソフトペダルの機能です。


こちらのアニメーションはアップライトピアノの中ですが、グランドピアノは下から《ハンマー→弦→ダンパー》に対し、アップライトピアノは奥から《弦→ダンパー→ハンマー》という構造になっています。

グランドピアノは鍵盤とハンマーが右にずれましたが、アップライトピアノでソフトペダルを踏むと、ハンマー全体が弦に近づき打弦までの距離が短くなることで、弦への当たりを弱め、音がやわらかくなります

 
グランドピアノもアップライトピアノも結果としてはペダルを踏む前と比べて、音量を下げ、やわらかい音色が出るようになります。
少々分かりづらいかもしれませんが、踏まないヴァージョンと踏んだヴァージョンの音源を聞き比べてみてください。


音源①:ソフトペダルを踏まないヴァージョン

音源②:ソフトペダルを踏んだヴァージョン

わずかかもしれませんが、ソフトペダルを踏んだ音源②の方がこもったような、やわらかい音色になっているのが分かりますでしょうか?

 
それでは機能を知ったところで、次に楽譜上の記号やどんな時に使われるかをみていきましょう!

 

ソフトペダルの記号を知ろう!


こちらの2つがソフトペダルに関する記号です。
「una」は「1つの」、「corda」は「弦」ですので、「una corda (ウナ・コルダ)」で「1本の弦で」ということになります。1本の弦にして欲しいということは、ソフトペダルを「踏む」ということです。
対して下の「tre corde (トレ・コルデ)」は、「tre」が「3の」で、「3本の弦で」ということになりますので、ソフトペダルを「離す」ことを意味しています。

ここで一つご注意を!
前回お話ししました「ダンパーペダル」は適宜「踏み変える」必要がありますが、この「ソフトペダル」は「una corda」から「tre corda」まで「踏んだまま」にしておくようにしましょう!


また、もしこちらの楽譜のように「ソフトペダル」と一緒に「ダンパーペダル」を踏まなくてはいけない場合は、
左足は「ソフトペダル」を踏んだままにし、
右足は「ダンパーペダル」を適宜踏み変えなくてはいけないのです。
両足を使うのは結構難しいかもしれませんが、演奏の幅が広がることは間違いなしかと思います!

 

ソフトペダルを活用しよう!

ではこの「ソフトペダル」、どういった時に使うといいかというと、
やはり「pp (ピアニッシモ)」や、音量を小さくして雰囲気に変化をつけたいときなどにつけるといいと思います。

もちろん先程説明した記号が書いてあるところにはもちろん使うべきですが、他のところで使ってはいけないというわけではありませんよ!
特に小さい音量にして雰囲気に変化をつけたい場合は、「ソフトペダル」を踏むだけで音色が変わりますので、より効果的になると思います。

この「ソフトペダル」をマスターすると音楽の表現の幅が広がりますので、使ったことが無い方も是非チャレンジしてみてはいかがでしょうか?

 

真ん中のペダル

3本のペダルがある場合、グランドピアノとアップライトピアノでは真ん中のペダルの機能が異なります。
それぞれお話ししていきますね!

 

アップライトピアノの真ん中のペダル:マフラーペダル

アップライトピアノについている真ん中のペダルは、「マフラーペダル、弱音ペダル」と呼ばれています。
ペダルを踏んで左側にスライドさせると踏んだままの状態に固定させることもできると思いますが、こちらは音を弱めた状態に固定することができるのです。


このペダルを踏むとアニメーションのように、弦とハンマーの間にフェルトが挟み込まれる仕組みになっています。そのため、音量を小さくすることができるのです。

この機能は演奏上に使用する効果のためのペダルではなく、音トラブルの対策として作られた機能なのだそうです。

 

グランドピアノの真ん中のペダル:ソステヌートペダル

グランドピアノの真ん中のペダルは「ソステヌートペダル」と呼ばれています
試しに踏んでみたことのある方もいらっしゃると思いますが、使い方や効果が分からなかったと思われた方が多いと思います。

ソステヌートペダルは実はダンパーペダルと良く似た機能を持っています。
ソステヌートペダルは特定の音のみにダンパーペダルと同じ効果をつけることができるのです。

使うとどんな感じになるのか、聞き比べてみましょう!
適当な楽譜ですが、こちらの楽譜を見ながら聞き比べてみてください。

音源①:ダンパーペダルを踏みっぱなしにしたヴァージョン

音源②:2段目のドとミの和音にのみソステヌートペダルを踏んだヴァージョン

いかがでしたでしょうか?
音源①は全体的に音が響いて聞こえていたと思いますが、音源②ははじめに弾いたドとミの和音のみ響いていませんでしたか?

もし試しに弾いてみたい場合は、2段目の和音は指で伸ばしっぱなしにできませんので、弾いてすぐどちらかのペダルを踏んだら指は離して1段目の音を弾いてみてくださいね!
因みに分かりやすいように2段にしていますが、2段目は右手で弾いても左手で弾いても大丈夫です。


ソステヌートペダルの使い方としては、響かせたい特定の音を弾いてすぐペダルを踏むと、上の画像のように特定の音のみダンパーを上げることができます。ペダルを離すまではこのままですので、使いたいところはペダルを離さないように気をつけましょう。

左足でソステヌートペダルを踏んで、右足でダンパーペダルを踏むという使い方もありますので、ソステヌートペダルは左足で踏む方がいいかもしれませんね。

こちらのペダル、紹介はしましたがほとんど使われることがないペダルかもしれません。記号も特になく、以前見かけた現代曲の楽譜には「sostenuto pedal」とそのまま書かれていました。
私も今までに数曲でしか使ったことがありませんが、そのうちの1曲をご紹介しますね!

【ベートーヴェン:ピアノソナタ《ワルトシュタイン》Op.53 第3楽章】

実は、手の大きい方はこのまま弾けると思うのですが、手の小さい私には左手のオクターブを速いテンポで弾くことがだいぶ厳しいため、上の楽譜の1小節目の2段目を右手と左手に分けて、下のような感じで弾きました。

この様に弾くと、上段の和音はクリアな音で響き、下段のオクターブの進行は濁らずはっきりと音が聞こえるようになるのです。

この様に濁らせずに長く響かせたい音があるけれど、他の音を弾かなくてはいけない等では使われることはありますが、なかなか使う機会のないペダルではあると思います。上記の曲以外にもドビュッシーやフォーレの作品なんかでも使用したことがあります。

知らないよりは知っておいた方がいいと思いますので、是非一度どんな感じになるのか試してみてくださいね!

 

まとめ

梶田講師
2回にわたり3本のペダルについてお話ししていきましたが、いかがでしたか?
使わないかもしれないけれど、どんな機能や効果があるのかを知らないよりは知っておいた方がいいと思います!

特にダンパーペダルは使用頻度が高いと思いますので、どうやってあの効果が生まれているかを理解しておくと便利だと思いますよ!!
真ん中のペダルは取りあえず置いておいても、右側のダンパーペダル、そして左側のソフトペダルは是非ご自身の演奏にも取り入れてみてくださいね♪

それではまた次回お会いしましょう♪