長調・短調ってなに? 特徴を覚えてピアノの練習に備えよう!5

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長調って?短調ってなに? 特徴を覚えてピアノの練習に備えよう! 第五弾

梶田講師
こんにちは!ABCミュージックスクールピアノ教室科講師の梶田です。
今回は「長調・短調」をテーマにいたします!

少々難しいお話しなのですが、頭の片隅に入れておくだけでも音楽解釈の理解が深まりますよ。
コードやアドリブにも挑戦したい方には是非覚えてもらいたい知識です!

「長調・短調」とはどんなものなのか、理解を深めてみましょう!

 

全音階

長調・短調のお話しに行く前に「全音階」というもののお話をしたいと思います。

そもそも「全音階」って何よ?!
と思う方も多いかと思います。

「音階」とつくものでは「半音階」の方が耳にする機会が多いと思います。
「半音階」は前回に説明したと思いますが、全て「半音」でできた音階のことです。

 
今回は「半音」も重要になりますので、「半音」もついでに復習しておきましょう!


「半音」+「半音」(「半音」2つ分)は「全音」と言います。

 
そして今回の「全音階」は皆さん口にしているし、弾いたことがあるはずですよ!

ド レ ミ ファ ソ ラ シ ド

のことです。これが一番有名な「全音階」です。

「全音階」はある音を起点として、そこから1オクターヴ上の同じ音まで7音を順番に並べたもののことです。

全音階には長音階と短音階があり、

長音階の調が長調 (英:major、独:dur)
短音階の調が短調 (英:minor、独:moll)

と呼ばれています。

因みにドレミファソラシドは長音階です。
先ずは長音階はどんなものか解説していきたいと思います!

 

長調 (長音階)

長調は、英語でmajor(メジャー)のことです。ドイツ語ではdur、フランス語ではmajeur、イタリア語ではmaggioreです。

先程「ドレミファソラシド」は「長音階」である、と説明いたしましたが、この「ドレミファソラシド」が「長音階」の基本となっています。

こちらはハ長調 (C major / C-dur)といいます。



このように

全音 全音 半音 全音 全音 全音 半音

と並んでいる音階を「長音階」と呼んでいます。

この並び方であれば、どの音からはじめても「長音階」ということになります。

因みに○長調や○短調の○の部分はドレミ~ではなく、日本語の音名が入ります。
生徒の一人にも「ハ長調はなぜド長調ではないのか」と言われたことがありますが、本当にややこしいですよね…。
音名もちょっと復習しておきましょうか。

 
さあ、気を取り直して例えば、
ト長調 (G major / G-dur)
ト長調は「ソ」が起点になります。



聞いてみると分かるかと思いますが、「ドレミファソラシド」と同じ様に聞こえませんか?
ファに必ず「#」をつけないとこの様には聞こえません。

 

短調 (短音階)

短調は、英語でminor(マイナー)のことです。ドイツ語ではmoll、フランス語ではmineur、イタリア語ではminoreです。

短調は「ラ」の音を起点にした全音階が基本となっています。

ラ シ ド レ ミ ファ ソ ラ

ですね。



 
短調は、

全音 半音 全音 全音 全音 半音 全音

となります。
聞いてみると長調よりも暗い感じにきこえませんか?
長調は「明るい」、短調は「暗い」と表現することもあります。悲しい曲や寂しい曲、郷愁を誘うような曲も短調で書かれることが多いですよ。

さて、それでは一つ他の音を起点にした短調も作ってみましょう。

ハ短調 (C minor / c-moll)



 

自然短音階


上記で説明しましたこちらの音階は「自然短音階」と呼ばれています。

音階の7つ目の音のことを「導音」と呼び、起点となる1つ目の音(1つ目の音のことは「主音」といいます)に「導く」ことになる音のはずですが、
この自然短音階、このままでは少々「導く」力が足りないため、自然短音階の他に和声短音階、旋律短音階が存在します。

 

和声短音階

和声短音階は7つ目の導音を「半音高く」します。


 
ハ短調でも確認してみましょう。

いかがでしょう?自然短音階よりもしっくりきませんか?

 

旋律短音階

旋律短音階は上行と下行で変わります。

●上行
6つ目と7つ目の音を「半音高く」します。

●下行
「自然短音階」に戻ります。


 
こちらもハ短調でも確認してみましょう。

こちらも自然短音階よりは不思議な音階の響きはなくなっていると思います。

 

調号と調の名前

一応調号につきましても復習しておきたいと思います。

もしト長調で曲が書かれている場合、「ファ」には「#」をつけることになりますので、楽譜上には拍子記号より前に「ファ」の場所に「#」がついてると思いますよ。(2段名以降は音部記号の次)

これは「ファ」に「#」が書いてなくも、「ファ」には「#」をつけましょうね、というお約束事です。
これを「調号」と呼びますよ、とこちらも前回お話ししたと思います!

この様に○調(起点となる主音によって)であるかによって、#や♭がどこにつくのか、何個つくのかが変わります。
#や♭が多いということは、起点となる音も#や♭になることがあります。

例えば、
シの♭からはじまる場合、英語ですと B♭ majorでいいのですが、ロ♭長調とはいいませんし、
ファの#からはじまる場合、英語ではF# majorでいいのですが、ヘ♯長調
とはいいませんので、こちらもご注意を!

#は「嬰」
♭は「変」

といいます。

ですので、先程の調ですと、「変ロ長調」「嬰ヘ長調」が正解です。
因みにクラシックはドイツ音名を使っていることが多いので、B-durとFis-durになります。
ドイツ音名の「#」や「♭」もややこしいですよね。

一応こちらも表にさせていただきます!

●#の場合

●♭の場合

 
もう一つ確認しておきたいことが、調号として楽譜に書く場合の順番です。

嬰ハ長調 (# 7つ) ファ→ド→ソ→レ→ラ→ミ→シ の順番です。

変ハ長調 (♭ 7つ) シ→ミ→ラ→レ→ソ→ド→ファ の順番です。

この順番は実は「#」や「♭」が増えていく順番と同じです。
こちらもまとめてみましたので、確認してみてくださいね。各調の主音=○長調や○短調の「○」の部分です。

●#の場合

●♭の場合

 

おまけの移調してみよう!

移調とは、調の起点となる主音を移行することです。
転調というものもありますが、こちらは曲の途中で調を変えることですので、移調とはまた別物です。

折角調のことを勉強してもらったので、今回は「かえるのうた」の移調にチャレンジしてみましょう!!

 
●ハ長調

こちらは皆さんご存知でしたね。

 
●ト長調
では、ト長調にチャレンジです。
ト長調の起点となる音は「ソ」で、「ファ」には「#」がつきますので、こちらは調号で書いておきましょう。
調号は各段のはじめの音部記号の右横に書きます。拍子記号は1段目だけですよ!

実はト長調に移調しても7音目は出てこないので、ファの♯はお預けなのです。

 
●ハ短調
長調でなく短調にしてみましょう。「たそがれのかえるさん」です。
調号は自然短音階が基本になりますので「シ」「ミ」「ラ」に「♭」です。

 
どうでしょう?移調もなかなか面白くないですか?
他の調でも是非チャレンジしてみてくださいね!

 

まとめ

梶田講師
少々難しいお話しでしたが、いかがでしたでしょうか?
調の謎が少しでも解決できてましたら嬉しいです!
調が理解できますとコードの理解も深まりますよ!!

皆さんも鍵盤を確認しながら長調や短調を作ってみてください!
そして次に是非お手持ちの楽譜を見て確認してみてくださいね!新たな発見があるかもしれませんよ☆

それではまた次回お会いしましょう!!

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