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ピアノの楽譜を読もう!第五弾 主音・導音・短音階とは
主音
さて前回、長音階についてお話しましたね!
それぞれの調を表す調号があり、
ドから始まる長音階をハ長調、レから始まる長音階をニ長調、と呼びます!
と言うところ覚えてますか?
この始まりの音を、『主音』と言います。
ハ長調の曲の中ではドが主音ですね。
それぞれの調に必ずヌシ様である主音が存在するわけですが、どの調においても主音を聴くと音楽が安定してホッとする感じがする、言わば一家の大黒柱的存在!!
なので、基本的に音って主音に向かいたがるんです!!
曲のメロディのラストは主音で終わっている、という曲が本当にたくさんあります。
逆に、主音で終わらない曲もたくさんあり、どっしり安定して終わらない分、何となくその先のストーリーを想像させたり、ふんわりと飛翔感があったりするのでクラシックだけでなくJ-POPやBGM等でも本当に良く使用されています。
皆さんもどこかで聴き覚えがあるのではないでしょうか。
この曲はホ短調、という調ですが、メロディの終わりがミではなくシ、であることによって、この先への期待感が増しますよね!
導音(どうおん)
音は基本、主音に戻りたがる、というお話をしました。
その中でも、これからご説明する導音の主音を求める力と言ったら…!!!
ハ長調で説明しますね!
この、主音の半音下、音階の7番目の音。これを『導音』と言います。
文字通り、主音を導く音なんです!!
導音というのは、いわゆるその調号内の音階の中で1番不安定な音なんだそうです。
なので、早く主音、ドに向かって解決したい!!
という緊張感の走る音ということになります。
子供の頃、よくこの音を聴くとお辞儀をしていましたね!
…いましたよね…??(念押し)
え、ジェネレーションギャップ…ない…ですよね??
この3つ目の和音には、色んな選択肢があります。
でも1番落ち着く、お辞儀した身体を起こして気をつけ!をしたくなるのは、やはり最初に聴いていただいた、ドミソドに戻る和音ではないでしょうか。
この導音(シの音)の後には、原則主音(ドの音)を持ってきましょう!
というのが基本の考え方になります。
本当は、もっと複雑な和音のお話をするとよりわかりやすいのですが、そうなると和声、というもう少し本格的な学問のジャンルに触れていかなくてはならないので、今日の話では、
主音より半音低い導音はという音は、主音に向かう
というところのみ覚えてもらえれば大丈夫ですよ!
短調と短音階(自然短音階)
さて、導音→主音、の関係がわかったところで、本日のメインとなります、短音階のお話をします!!
短音階にも長音階と同様、まずは全ての音階に調号が存在します。
それぞれの調の主音から、
全音⇨半音⇨全音⇨全音⇨半音⇨全音⇨全音
と並ぶ。これが『自然短音階』と呼ばれる調号通りの短音階です。
そしてこの短音階を持つ、長音階に比べてもの悲しい響きのする調を、短調と言います。
さぁ!まずは、全ての短調の自然短音階を見てみましょう!
さて、ここで問題になるのが先ほどご説明した『導音』なんです。
主音に戻るために重要な7番目の音が、導音である半音下じゃなくて、全音下なのがわかりますか?
導音を使って主音に戻る!という雰囲気が自然短音階だとちょっとぼやけてしまうんですね。
短音階(和声的短音階)
さて、自然短音階だと導音がないので、主音に戻るのがなんだかふわっとぼやけちゃう…
この現象を、あっさり解決しちゃう方法があるんです!!
ズバリ!7音目を半音上げて導音にしちゃえ!!作戦です。
前回勉強した通り、変化記号、ここでは調号に無い、臨時記号を付けます。
半音上げるには、♮ならば♯をつけるか、♭ならば♮を付ければ良いんでしたね。
というわけで、7番目をそれぞれ半音上げてみますよ。
これを『和声的短音階』と呼びます。
上がりきる主音の直前が導音なので、主音のラの音にたどり着いた安心感が生まれましたね。
ですが、ちょっと待って!!!
なんだかこの音階、この辺り!!
ほのかにアラビックな感じと言いますか、エスニックといいますか…
中東な響きしませんか…??
短音階(旋律的短音階)
詳しい音の幅(音程と言います)の話はまたいずれ詳しくご説明しますが、この6番目と7番目の音の幅、これを増2度音程と言います。
これがまた何というか…大変民族のかほりのする音程なんですーー!
ね、あっというまに蛇とか出てきそうな雰囲気に…笑
さて、こうなったら、この増2度問題も解決しちゃえ!!と生まれた3つ目の短音階、『旋律的短音階』について覚えましょう。
旋律、というのはいわゆるメロディなのですが、メロディのように自然な音の流れになる音階、それこそが旋律的短音階。
増2度の6番目、7番目の音が自然に聴こえれば良いのですから、6番目の音符も半音上げてしまえば出来上がり!
この旋律的短音階は、上りは臨時記号が付いてメロディのように流れるけど、下りは自然短音階に戻すので、注意してくださいね!
3種類の短音階は、どれもとても大切な音階なので、いつか全部覚えて欲しいなぁって思います。
でも、この数見るとギョッとしますよね…。
なので、長音階同様1日1個で良いので、弾いて調号の少ない音階から耳で覚えちゃうのが、近道ですよ!
ある程度短音階の響きが耳に入れば、他の主音からもきっと短音階が弾けるようになっているはず♪
最初は、曲の中でも1番耳にする機会の多い、旋律的短音階から覚えるのが、私的オススメですよーー!
短調
そして途中でサラっと話してしまいましたが、改めて…長調と比べてもの悲しい感じのするこの調を短調、と呼びます。
長調と呼び方は同じで、主音がそのまま名前になりますよ!
ラが主音ならば、イから始まる短音階でできた調、すなわち『イ短調』の音階と呼びます。
…前回同様、やっとここまで行き着いた…笑
ひゃー!2回連続難しい話になりました!
読んでくれた本当に皆さまお疲れ様です!
まとめ
1. 主音、それは音階の1番初めの音。調の肝心要、一家の大黒柱でとっても大切な音ですよ
2. 導音、それは主音を導く音。主音の半音下で、この音も本当に大切です
3. 自然短音階、それは調号通りに「全音⇨半音⇨全音⇨全音⇨半音⇨全音⇨全音」と並んだ音階のこと
4. 和声的短音階、それは自然短音階の7番目の音を導音にするために、半音上げた音階のこと
5. 旋律的短音階、それは和声的短音階の6番目の音も半音上げた音階!…下りは自然短音階だから気をつけて!!
6. 短音階の調、短調のスケールを覚えましょう
それでは次回のブログでお会いしましょう!
ABCミュージックスクールピアノ科講師の小倉里恵がお送りしました。
すっかり冬の足音がして来ましたねぇ。
こんな季節は熱燗と酒盗の組み合わせがたまりません…笑
さて、今回は楽譜の読み方の中でも、主音と導音、そして、短音階(マイナー・スケール)と短調についてお話していきますよー!
メジャースケールと違い、短音階はそれぞれの調につき1つ、ではなく、なんと3つずつ!!
その分少し複雑になってきますが、前回の長音階が少しでも体に馴染んで来ていれば大丈夫!
楽しみながら読んでみてくださいな♪
それではいきましょう!